思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

青春を告げる黄昏の交響曲と、夜明けを忘れた理想郷。

溶けかけのアイス、うだるような熱、

青春はあまりにも不正確で、それでいていつかはあっけなく終わってしまう物だ。

儚く終わるものはいつだって美しい。

桜の美しさを忘れる人がいないように、この曲もまた、強い光を放っている。

あなたが踏み出す一歩は、いつかあなた自身を支える力になりうる。

いつまでも忘れられない青春の一時を切り取った、名曲だ。



カップリングは官能的な桃源郷をイメージしたF.A.T。

理想郷に夜明けなどないのだ。

今はただ踊れ。風に吹かれるままに。今は。



人間不信という罪は悪ですか?

夏目漱石のこころ。

学生時代にこの本を中途半端にしたままどこかへなくしてしまって、大人になった今もう一度購入した。

かつての私はなぜこの名作を蔑ろにしていたのだろう。

それまで精神面が成長していなかったからだろうか。

中学生のころに、少しだけ内容を触ったことがあるという位しか覚えていないが、

Kが言った「向上心が無いものはばかだ」をもう一度先生が言い返すというシーンがずっと記憶に残っている。

その当時はKにお嬢さんを取られたくない一心で発した言葉かと思っていたが、最近になって読み返すとどうやら違っていたらしい。

先生は病気で親を亡くし、信頼していた叔父に金の件で裏切られたという自らの不幸な生い立ちを恨み、

そのうえ、Kに自らの醜い過去をひた隠しているという事実を知られていることを負い目だと思い、

誤魔化しと皮肉を込めて言ったのだ。

それは先生の苦肉の策だっただろう。

先生ではない私(先生と私の主人公)の病が篤い父に対しても、

「病人は必ず死ぬのです」と言ったのも、先生自らの経験からだろう。

事実を知られたくないがために他人を欺いてまで自分を守り通し、それでいて意味深な言葉をちらつかせる先生。

彼を救う方法はなかったのだろうか。

彼は逃げ続けたから、自分の罪をKに擦り付けたから、自分の人生を破滅させることになったのだ。

しかし、人に欺かれた人間が人を欺くとはなんという皮肉だろう。

不幸を背負った人間が新しい考えに行きつくことは難しい。

分かっているはずだが何とかならないものかと考えている。

自分に嘘を付き続けることほど辛いものはない。

それは果てのない責め苦である。

一回疑心暗鬼になってしまった者ならその苦しみが解るだろう。

悪人は善人の中にこそ存在し、それは一見だけでは分からないものだ。

先生は責め苦の果てに死ぬことを決意したのだろう。

それが間違っていると伝えることができる人はもういない。

しかし誰も責めることはできない。

不幸の苦しみはロシアンルーレットのようなもので、いつだれが当たるか分からないのだから。

欲を言うなら私(先生ではない方)が先生に何とかして言葉を伝えればよかったのか。

結論は誰にもわからない。

個人的にあったらうれしいカバーアルバムを考えてみた

順不同でいくよ。(バンド名/カバー曲名)

雨のパレード/楽園(メレンゲ

ゴールデンボンバー/5150

サカナクション/赤い電車

ASIAN KUNG-FU GENERATION/ネイティブダンサー

kidori kidori/オンリーワンダー

フレデリック/アウトサイダー(またはフィールソーグッド)(kidori kidori)

スピッツ/MABOROSHI SUMMER or MURASAKI or コースター

KEYTALK/ホタル(スピッツ)or日なたの窓に憧れて

THE ORAL CIGARETTES/女々しくて

ストレイテナー/wonderful&beautiful

キュウソネコカミ/猫飼いたい(ヤバT)

ヤバイTシャツ屋さん/ファントムバイブレーション

変調するスピッツ、白昼に起きる。

※(大方)スピッツの記事じゃないのでご注意を!

読みたい方はこちらにて。

doukesinohane.hatenablog.com




CDを再生した瞬間、やられた、と思った。

最初聞いた時にこりゃ、次のスピッツになりうるであろうバンドだ、と思った。

なんでそんなことを思ったか。

それはスピッツのホタルを聴きながらMABOROSHI SUMMERを聴いていたから。

>>「幻幻、それは幻」<<

草野マサムネを模倣できるアーティストはいないと思っていたのに。

夏を歌っているのに静謐で冷たい。それもまた不思議だった。

本家は僕の全てを白く汚してゆく。

彼らは「僕を『壊して』いいんだよ」と歌う。




ぐるぐるとまわるMURASAKIの退廃。

生きたオルゴールの掛け合いが続く。

まるで川上弘美真鶴 (文春文庫)長嶋有パラレル (文春文庫)世界を再現しているかのような。


真鶴 (文春文庫)

真鶴 (文春文庫)

パラレル (文春文庫)

パラレル (文春文庫)

終わりのない迷路に迷い込む。永遠に閉じ込められる。

現実と幻想のあわいで揺らぐ。

「こんなはずじゃなかったのに」と呟くように歌う。

気付いたら何回も再生している。どこで終止符を打てばいいのか分からない。

パラレルとコースター。どちらかがより好きかと聞かれたら、私はコースターと答えるだろう。


どちらも捨てがたいが、変調が楽しいのはコースターだ。本気度はパラレルの方が上だろう。




それはPARADISE収録の傑作、HELLO WONDERLANDになっても変わりはしない。

半端なく明るいのに、そこには永遠に光が差さない場所がある。

いつもほんの少しだけ、影がある。

だからこそ彼らの曲は中毒性があり、面白い。

ほんの少しセンチメンタルで、美しい。

躍らせる曲より、バラードが好きだ。

センチメンタル(曲名)が傑作。

その他スピッツの渚、スカーレットを髣髴させるFLAVOR FLAVOR、ぐるぐる花びらが舞う桜花爛漫も良い。

酒飲んでバカ騒ぎをしなければもっといいのだが。

個人的にスターリングスターの衣装が好きです。



p.s.あ、Mステ、出るらしいです。ヤマタクと一緒に。

実はこちらにも同じタイトルの曲があるのです(エンドロール)。

彼についてはこちらでちょこっと触れてます。

doukesinohane.hatenablog.com



どちらも傑作アルバムなので、お供にどうぞ。

PARADISE<初回限定盤A:CD+DVD>

PARADISE<初回限定盤A:CD+DVD>


※首藤くんと関係があるかつて存在した残響系バンド。幻想と生きたオルゴール人形の感覚を味わいたいならこちらに。

君はシャウト、好きかい?

doukesinohane.hatenablog.com

一番はじめの出来事

一番はじめの出来事

回帰する呼吸

回帰する呼吸

再生の風景

再生の風景

僕は新たな幻惑の音楽に戸惑う。

何なんだ。いったいこれは何だ。

一瞬目を疑った。

とんでもない音楽を聴いてしまった。

さわりを聴いただけでそう私は確信した。

このアーティストは後々語られることになる。

そんな雰囲気が醸し出されている。


彼らの名はmol-74(モルカルマイナスナナジュウヨン)。まだ新しいバンドだ。

私は彼らの名前を新聞で見た。

鶏のから揚げを口いっぱいに頬張りながら、目だけはその奇妙な名前にくぎ付けになった。

この陽だまりの中のまどろみのような幻想を操る彼らがこれからどう進化していくか。

ああ、想像しただけでわくわくする。

私は楽しみでならない。また新たな楽しみを授けてくれてありがとう。

独り占めするなら今のうちだ。今ならまだ間に合う。

個人的なおすすめは「グレイッシュ」、必聴です。



colors

colors

心に咲く大輪の花と力強く希望を歌う音楽と。


ジュブナイルが好きだ。

懸命に生きる少年少女たちを称える歌。

誰にも伝えられない不満や悲しみを抱えた彼らを、秋田ひろむは何度も励まし、その栄誉を称賛する。

どんなに存在を認められなくても、絶望に打ちひしがれそうになっても、

それでも君はここに居なければならないと、何度も何度も肯定する。

心に一輪の花が咲いたような気分になる。

その力強い肯定に何度励まされたことだろう。


先が見えない、こんな今だからこそ、何気ない今を大切にしていたい。

絶えず自分のそばに花を飾っていたい。

曲や本の中に存在する花でもいいし、道端に咲く花でもいい。

伝えたい思いや心があれば、それは大金をはたいて手に入れた花と同じかそれ以上の価値を持つのだから。


私は信じていたい。

ありきたりの人生が幸せなのだということを。

飾り気のない世界が幸せなのだということを。


彼が作った歌で一番好きな曲、無題で彼女が送った桜色の便箋にただ一言書かれていた、

「信じてたこと、正しかった」

の一言。

私には夢がある。

この言葉を最後に言えるようになるという夢が。

そういう人生を送りたいという夢が。


もう一度言う。私は信じていたい。

人が信じていることを根こそぎ奪うような真似はしたくない。

誰もかれもが言えるような世界でなければならないのだ。

信じていたことを絶望に封じ込めてはならないのだ。

自分の経験を忘れない。

自分が手に入れて感じた体験は忘れずにメモしておく。

海は光っていただろうか。

どの色の花が好きか。

空の青さはどうか。

夜の匂いはどうだろうか。

それらを忘れずにメモしておく。

想像力をかきたてる作品を覚えておく。

目の前にあるイメージに敏感になり、足りない個所はどんどん書き足してゆく。

そうして物語が出来上がる。私だけの物語が。