思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

最後の注文に乗り遅れるな。

Cherish

Cherish

人生を覆す音楽に遭遇してしまった。

今までの音楽って一体、一体なんだったんだ?


あちこち音楽を聴きながらサイトを巡っていたら遭遇した。

その名も、LASTorder(ラストオーダー)。

まだ私は三曲程度しか聴いていないが、確実に持っていかれた。

え、そんな馬鹿なって?狐につままれたようだって?

言葉で説明できないので、とにもかくにも一回聴いてほしい。それから記事を読むので全然かまわない。



「生きているうちにこの音楽に出会えて、良かった。」

この音楽はもはや、音楽どころか神の域まで到達してるんじゃなかろうか。誇張抜きで。

お気に入りの一行 2

「胸の中にある海はね、荒れた日の濁った海じゃなくて、明海らしく、できるだけあかるくて、青くて、澄んだ海にしておくんだよ」

「自分の人生を愛せないと嘆くなら、愛せるように自分が生きるしかない。」ーきらきら眼鏡/森沢明夫

わたしは人見知りをする性質だ灯台守の話/ジャネット・ウィンターソン

「今になる、蛇になる、きっとなる、笛が鳴る」「深くなる、夜になる、真直になる」夢十夜/夏目漱石

たとえ不満を持ってても、自分の人生が苦しいと思ってても、最後まで生きなさいよ。ー教団X/中村文則

読んだお気に入り本を列挙する。

朝井リョウ 「星やどりの声 (角川文庫)

朝吹真理子流跡 (新潮文庫)

綾瀬まる「朝が来るまでそばにいる」「やがて海へと届く

いしいしんじプラネタリウムのふたご (講談社文庫)」「ぶらんこ乗り (新潮文庫)

伊坂幸太郎砂漠 (新潮文庫)」「チルドレン (講談社文庫)

冲方丁 「もらい泣き (集英社文庫)

小川洋子ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)」「薬指の標本 (新潮文庫)」「ことり (朝日文庫)」「偶然の祝福 (角川文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

小野正嗣森のはずれで」 「マイクロバス

川上弘美真鶴 (文春文庫)」「神様 (中公文庫)」「おめでとう (新潮文庫)」「どこから行っても遠い町 (新潮文庫)

川上未映子愛の夢とか (講談社文庫)」「ヘヴン (講談社文庫)」「水瓶

神林長平フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉」「だれの息子でもない (講談社文庫)

呉 勝浩 「白い衝動

桜井晴也「世界泥棒

小路幸也蜂蜜秘密 (文春文庫)」「壁と孔雀(ハヤカワ文庫JA)

島本理生 「よだかの片想い (集英社文庫)

白石一文記憶の渚にて」「彼が通る不思議なコースを私も (集英社文庫)

中村文則 「教団X (集英社文庫)」「何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)」「私の消滅

長野まゆみ雨更紗 (河出文庫―文芸コレクション)
綺羅星波止場 (河出文庫―文芸コレクション)」「賢治先生 (河出文庫〔文藝コレクション〕)

仲畑 貴志 「この骨董が、アナタです。 (講談社文庫)

西加奈子 「i(アイ)」「サラバ! 下」「きりこについて (角川文庫)」「ふる (河出文庫)

東山彰良罪の終わり」「ブラックライダー

廣嶋玲子「青の王

藤谷治 「あの日、マーラーが

堀江敏幸 「その姿の消し方

森絵都 「カラフル」「つきのふね (角川文庫)

山田宗樹代体」「ギフテッド (幻冬舎文庫)

人生を後悔しないためにも、本気で読んでいた方が良い本

今週のお題「読書の秋」

告白 (中公文庫)

告白 (中公文庫)

誰だって人生を悔いたくない。

悲しい人生より、明るい人生を歩んだ方が良いに決まっている。

そんな人に本気の本気の本気でおすすめする本があります。

「きりこについて」「告白(町田康)」この二冊。

この二冊のテーマは「人間関係での、後悔」。

人間関係でのあらぬ勘違いをしたせいで、人生が二転三転。

もう、ゴロンゴロン大玉転がしの玉のように転がっていっちゃいます。こんなに変わっていいの?って位に。

人生って本当に、何があるか分かりませんな。

人は生まれた場所と親を選べない。それと元々の気質のせいで…。なんていうお話です。

そういう話なので「重たいのかな?」って思う人、それは大間違い。


笑えます。

むちゃくちゃ笑えます。

読み終わった後には走る酢醤油と白玉がこびり付くぐらい、笑えます。

知性ある黒猫、個性あふれる登場人物、思わぬどんでん返し。

笑って泣けて考えさせられる二冊。

秋の夜長に、ぜひ。

自分は人と違っているかも?生きづらくて辛いな、

もしくはもう絶対後悔なんてしたくないよーっていう人にお勧めです。

肉体の消滅を謳う。

doukesinohane.hatenablog.com

前回の記事の続きになる。

密やかな結晶 (講談社文庫)

密やかな結晶 (講談社文庫)

肉体の消滅、というと、何か堅苦しくなりそうなので、できるだけ柔らかく語ろう。

テナーと小川洋子には「体が消える」という特徴がある。

その感覚は「薬指の標本」にも言えることだったのだが、「密やかな結晶」ではさらにその意味が強い。

少しずつ、身体の一部が透明になって見えなくなってゆく。

名前もない場所で、というのは名前がなくなった場所でということなのか。

名前が失われた場所。色彩を失った場所。打ち捨てられたギター。

肉体(からだ)を失った男と少女。

体があるのに少しずつ欠けてゆくという感覚は、「欠損」と呼ぶにふさわしい。

視野が少しずつ狭まってゆくように、体が勝手に消えてゆく。

そして、ある時彼らは魂だけの存在になる。

それは人間の究極の姿であり、私たちが絶対に見ることができない場所なのだろうと思っている。

音楽と小説。ジャンルは全く違うはずなのに、似ているのが不思議だ。

彼らは同じことについて語っているんだろうか。

だとしたらなぜ、ここで言わなければならなかったのだろう。

あるバンドマンが辿った読書の軌跡。

それは、偶然というしかなかった。

彼の文章と音楽に出会った時、私は恐れ慄いた。

あまりにも、今まで読んだ本や音楽と考え方が違っていたので。

他のアーティストとはかけ離れた世界観を持っていたから。

惑いの森 (文春文庫)

十九歳の地図 (河出文庫 102B)

カッコーの巣の上で (字幕版)

夜間飛行 (新潮文庫)

ベロニカは死ぬことにした (角川文庫)

西瓜糖の日々 (河出文庫)


高橋國光

彼は、一体どのような本を読んで、どのような映画を見たのだろう。

ここにあるのは私が実際に読んで感じた「既視感」による選書だ。本当に読んだかどうかは定かではない。


愛の夢とか (講談社文庫)

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

今でも私は後ろ姿を探している。

死を悼む二人の者たちについて。

ストレイテナーの物語は悲しむことに重点を置いた話が多い。

以前にも記事として書いた78-0にも、明くる日のピエロにも言えることで、

ネクサスに収録されているLightningには主人公の体が消えることが仄めかされている通り、そこには何者かの死の趣が濃い。

死者の歌、戦士の屍のマーチ、続くunicornといい、そこには戦争と死者の影がある。

死者の声を聞くという意味では読書も似たようなものかもしれない。

名作を書いた人たちはとっくの昔にこの世にいない。

小川洋子はかつて、作品の中でこういった。

「死を弔うことが物語の本質だ。死の匂いがあってこそ物語は輝く」と。


全ての生を授けるものは同時に死を授けるものであり、弔いに値するものだ。

それらは一筋の希望の光であり、尊重すべきものなのだ。


生きている限り、死者に鎮魂の思いを込めて弔う。

誰かを思いやるという気持ちが忘れ去られつつある今、

それが礼儀というものではないのか。