思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

舞台装置の中の白い小鳥は、無限複製されて闇を飛び立つ。

ミネルヴァPeople In The Boxロックprovided courtesy of iTunes 白いしるし (新潮文庫)作者:西 加奈子発売日: 2013/06/26メディア: 文庫西加奈子さんの白いしるしを読み終わりました。再読です。 キネマの神様と一緒に、うつくしい人を購入したいと思ってい…

猫にも鳥にも成れぬヒトの私は、

猫じゃらしRADWIMPSロック¥255provided courtesy of iTunesVANDALISMストレイテナーロック¥255provided courtesy of iTunes昏睡クラブPeople In The Boxロック¥255provided courtesy of iTunes最近はテナーのVandalismばっかり聴いていました。blue moon lig…

統率された世界の片隅

村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」作者:森泉岳土発売日: 2019/12/21メディア: 単行本登場人物たちは、強い主張をすることもない。 だが、沈黙の圧力が静かに横たわっている。 彼はその夜、自宅のガレージの中で死んだ。 N360の排気パイプにゴム…

あのひとはほんとうに美しいひとなんです、

世界泥棒作者: 桜井晴也出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/11/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る あのひとはほんとうに美しい人なんです、わたし、ああいうひとってほかに知らないんです、 それに、あのひとは自信のないひとだ…

ある一日

人がやって来た。 私は吉田修一と辻村深月の本を渡した。また、次の日には別の人がやって来た。 私は石田衣良と桐野夏生の本を渡した。また、次の日来た人には西加奈子と山田詠美を。次の人には司馬遼太郎と山本一力を。次の日、私は違う人にラブクラフトを…

人生をライカと歩んだ男

LEICA,My Life (ライカ、マイライフ)作者: 田中長徳出版社/メーカー: エイ出版社発売日: 2013/12/04メディア: 単行本この商品を含むブログを見る人生をライカと共に歩んだその美学。そんな贅沢な話が「あたし」という一人称で軽快に語られる。 ライカは掛け…

熊と踊れ。

熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: アンデシュ・ルースルンド,ステファン・トゥンベリ,ヘレンハルメ美穂,羽根由出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/09/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (30件) を見る熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫…

魂の集まり。それこそが本だ。

本のエンドロール作者: 安藤祐介出版社/メーカー: 講談社発売日: 2018/03/08メディア: 単行本この商品を含むブログを見る今、私の中でこの本が熱い。本が売れない。何度も何度もその言葉は聞いてきた。食傷するぐらいに。本が売れない理由として挙げられるの…

『絶望とは未来にあるのではなく、その人間の過去の集積として、彼の行く手に置かれたものである。』

白石一文は「記憶」と深く結びついている。 このテーマは神林長平(所詮言語SFと呼ばれるものだ)や山田宗樹も取り上げていて、 彼らは共に「生命の記憶」、生まれてから死ぬまでに魂に染み付いた記憶について述べている。 人は一人ひとりそれぞれ唯一無二の…

村上春樹とスピッツに共通する、「絶妙な既視感」。

1Q84 BOOK 1作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/05/29メディア: 単行本購入: 45人 クリック: 1,408回この商品を含むブログ (1265件) を見る絶妙な既視感、という物がある。それは「はじめて見た(聴いた)のに、生まれる前から知っていたよ…

好きな作家は何ですか?好きな本は?

お題「好きな作家」という訳で、少し語ってみることにする。現実と夢想の境界を彷徨うのは川上弘美で、私は彼女が生み出すへんないきもの(大概、のようなものと呼ばれる。の・ようなものではない)が好きだから読んでいるようなものだ。神様に出てくるくま…

「この世界にアイは、」

i(アイ)作者: 西加奈子出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2016/11/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る 「この作品には悲しみも、 苦しみも、何もかもすべてひっくるめて愛せるだけの強靭さと優しさがある。」今だからこそ書きたいと思った…

お気に入りの一行 2

「胸の中にある海はね、荒れた日の濁った海じゃなくて、明海らしく、できるだけあかるくて、青くて、澄んだ海にしておくんだよ」「自分の人生を愛せないと嘆くなら、愛せるように自分が生きるしかない。」ーきらきら眼鏡/森沢明夫わたしは人見知りをする性質…

読んだお気に入り本を列挙する。

朝井リョウ 「星やどりの声 (角川文庫)」朝吹真理子「流跡 (新潮文庫)」綾瀬まる「朝が来るまでそばにいる」「やがて海へと届く」いしいしんじ「プラネタリウムのふたご (講談社文庫)」「ぶらんこ乗り (新潮文庫)」伊坂幸太郎「砂漠 (新潮文庫)」「チルドレ…

人生を後悔しないためにも、本気で読んでいた方が良い本

今週のお題「読書の秋」きりこについて (角川文庫)作者: 西加奈子出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2011/10/25メディア: 文庫この商品を含むブログ (15件) を見る告白 (中公文庫)作者: 町田康出版社/メーカー: 中央公論新社発…

肉体の消滅を謳う。

doukesinohane.hatenablog.com前回の記事の続きになる。密やかな結晶 (講談社文庫)作者: 小川洋子出版社/メーカー: 講談社発売日: 1999/08/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 79回この商品を含むブログ (108件) を見る肉体の消滅、というと、何か堅苦しく…

あるバンドマンが辿った読書の軌跡。

それは、偶然というしかなかった。彼の文章と音楽に出会った時、私は恐れ慄いた。あまりにも、今まで読んだ本や音楽と考え方が違っていたので。他のアーティストとはかけ離れた世界観を持っていたから。★惑いの森 (文春文庫)★十九歳の地図 (河出文庫 102B)★…

本読み上級者編の二冊。

最後に、文体は限りなくシンプルなのに内容ははるかに難しいこの二冊を。 破壊しに、と彼女は言う (河出文庫)作者: マルグリットデュラス,Marguerite Duras,田中倫郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1992/09メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含…

本はどうやって手に入れる?

皆さんは本をどうやって手に入れるだろうか。中古書店で買う?それとも、新刊を書店で購入する?はたまた、図書館で借りる?私は、必要に応じて、(なるべくなら新刊で購入したいけれど)使い分けている。 新刊→単行本(ハードカバー)中古→好きな作家の昔の…

本読み中級編の三冊。

本読み初心者の方へのおすすめ傑作本三冊。 - 思考は揺らめく道化師の羽初心者向けの本じゃ物足りない、もっと刺激がほしい、少し成長したいなと思うときに読みたくなるような三冊を紹介しよう。 わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫)作者: 川上未…

本読み初心者の方へのおすすめ傑作本三冊。

本読みサイトの割に全くと言っていいほど本を紹介していなかったので、この際、本を紹介しようと思う。 博士の愛した数式 (新潮文庫)作者: 小川洋子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/11/26メディア: 文庫購入: 44人 クリック: 1,371回この商品を含むブロ…

溶けた夕暮れ、魂と祈りを乗せ

世界泥棒作者: 桜井晴也出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/11/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 死ぬ直前にもし本が一冊読めるとしたら、私は迷わず桜井晴也の世界泥棒を手元に置くだろう。固定観念を鮮やかに破壊している、今…

「愛は祈りだ。僕は祈る。」

好き好き大好き超愛してる。 (講談社文庫)作者: 舞城王太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/06/13メディア: 文庫購入: 14人 クリック: 141回この商品を含むブログ (107件) を見る もう、本当に「良かった」としか言いようがなかった。固い言葉では何と…

不確かな世界に向けて二つのさよならを

「二つのグッドバイについて、話をしようか。」グッド・バイ (新潮文庫)作者: 太宰治出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/09メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 27回この商品を含むブログ (69件) を見るバスの中で揺られながら、本を読んでいた。太宰治の「…

本を手に取る

夏の図書館は骨の張り付くようなにおいがする。多分消毒液の香りだろう。飛水、パラレル、流跡を借りる。長いこと読みたかったこちらあみ子を読む。新刊もあったな、この作家。川上未映子の水瓶の女の子が砕けてしまうシーンが凄く良かった。小野正嗣を読み…

人間不信という罪は悪ですか?

夏目漱石のこころ。学生時代にこの本を中途半端にしたままどこかへなくしてしまって、大人になった今もう一度購入した。かつての私はなぜこの名作を蔑ろにしていたのだろう。それまで精神面が成長していなかったからだろうか。中学生のころに、少しだけ内容…

宮本輝はあなたをきっと助けてくれる。

青が散る〈上〉 (文春文庫) 作者: 宮本輝 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2007/05 メディア: 文庫 購入: 9人 クリック: 18回 この商品を含むブログ (29件) を見る 青が散る〈下〉 (文春文庫) 作者: 宮本輝 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2007/05 メ…

あなたは本を一冊も読まないような愚かな人にならないでほしい

私が生きてきて一番痛切に思うことがある。 それは、「本をジャンル関係なしに読んでおくべきだった」ということだ。 子どものころからもっとたくさん本を読んでおけばよかった。 面白い本や、人生を変えてくれる素晴らしい本に一冊でも多く出会うべきだった…

価値観を受け入れるということ。

まく子 (福音館の単行本) 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 福音館書店 発売日: 2016/02/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る サラバ! 上 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2014/10/29 メディア: 単行本 この商品を含むブ…

本当に大切なものを見つけるための本。

本を読む本 (講談社学術文庫) 作者: J・モーティマー・アドラー,V・チャールズ・ドーレン,外山滋比古,槇未知子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1997/10/09 メディア: 文庫 購入: 66人 クリック: 447回 この商品を含むブログ (320件) を見る 道をひらく 作…