思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

スピッツに出会うまで。

きっかけは一枚のCDだった。

これである。

テレビで懐メロ紹介があるたびに、画面にくぎ付けになって見た「空も飛べるはず」。

そこにあるのは秘められた嘘や、ひっそりと隠し持つナイフや、ごみで埋もれた町とそれらを照らす満月だ。

「それでも」君に笑っていてほしいと歌うのだから、相当な思いだろう。

実際に空も飛べるんじゃないか、とは思わないが飛べたらいいな、とは思う。

赤い血のような絵の具が舞うPVの演出が妙にシュールだったことを覚えている。



イントロとテンポがいいロビンソン、錆が印象的なチェリーと続くこの三曲はメガヒット曲であると同時に、

純粋な気持ちの中に毒があるというギャップもかなりある曲のようだ。

三日月ロック[Analog]

三日月ロック[Analog]



さわって・変わって。みかんが頭上からてんこ盛りに降ってきそうなミカンズのテーマ。

みかんに埋もれて、怖いけれど少しおもしろそうだとも思った。

でも一番好きなのはババロアだった。

なぜ宇宙にババロアが出てくるのだろう。宇宙の中でぷるぷると震えるババロア

毛布は翼になり、世界を包み込む。

普通ではありえないものの組み合わせがかもしだす不思議な雰囲気が、とても好きだった。

エスカルゴも捨てがたかった。

「駄目だなゴミだな」といった否定的な言葉から始まる冒頭は、

ゴミがきらめく世界でと歌う空も飛べるはずにも、俺のせいだと自分を責めるワタリにもつながる。

ざらざらの世界。カタツムリの表面を示しているのだろうか。


断言しよう。スピッツは只、ふわふわしたバンドではないと。

ミスチルやサザンのように分かりにくいが、初期は確実にブルーハーツエレカシに影響を受けたロックだと。

青春生き残りゲームや俺のすべて、メモリーズ・カスタム、僕はジェットを聴けば分かる。


桃をはじめ、8823もラズベリーも猫になりたいも俺の全ても好きだけど、これ以上書くとときりがないから終わろう。

ぜひ、サイクルヒットで終わらずに、ほかのアルバムにも手を出してほしい。

そしてどんどん聴きこんで、お気に入りの一曲を見つけてほしい。