思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

本読み上級者編の二冊。

最後に、文体は限りなくシンプルなのに内容ははるかに難しいこの二冊を。


破壊しに、と彼女は言う (河出文庫)

破壊しに、と彼女は言う (河出文庫)

デュラスの「破壊しに、と彼女は言う (河出文庫)」。

これは果たして小説なのか、それとも散文詩なのか、それとも戯曲なのか。

アリサの奇怪な行動と衝動には疑問が尽きない。

他の登場人物の会話も不十分な所がかなり多く、その解釈は読者に任されている。

まさしく「百人いたら百通りの読み方ができる」小説。


すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)

アンソニードーアの「すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)」。

ピュリツァー賞を受賞した2016年の衝撃作であり最高傑作。

もうこれは本を通り越して一つの画像と音声のない壮大な映画。

目の見えない少女と少年兵の緻密な描写をとにかく味わってほしい。


いかがでしたでしょうか。

三日間かけておすすめの本を紹介してきました。

いやー、本はあまり読まないよ!って言う方も、最近の本は何を読んだらいいか分からない!って言う方も、

ほんの少ーしだけでも本に興味を持っていただけたら、嬉しいです。


今週のお題「読書の秋」)。