死を悼む二人の者たちについて。
ストレイテナーの物語は悲しむことに重点を置いた話が多い。
以前にも記事として書いた78-0にも、明くる日のピエロにも言えることで、
ネクサスに収録されているLightningには主人公の体が消えることが仄めかされている通り、そこには何者かの死の趣が濃い。
死者の歌、戦士の屍のマーチ、続くunicornといい、そこには戦争と死者の影がある。
死者の声を聞くという意味では読書も似たようなものかもしれない。
名作を書いた人たちはとっくの昔にこの世にいない。
小川洋子はかつて、作品の中でこういった。
「死を弔うことが物語の本質だ。死の匂いがあってこそ物語は輝く」と。
全ての生を授けるものは同時に死を授けるものであり、弔いに値するものだ。
それらは一筋の希望の光であり、尊重すべきものなのだ。
生きている限り、死者に鎮魂の思いを込めて弔う。
誰かを思いやるという気持ちが忘れ去られつつある今、
それが礼儀というものではないのか。