思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

人生を後悔しないためにも、本気で読んでいた方が良い本

今週のお題「読書の秋」きりこについて (角川文庫)作者: 西加奈子出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2011/10/25メディア: 文庫この商品を含むブログ (15件) を見る告白 (中公文庫)作者: 町田康出版社/メーカー: 中央公論新社発…

肉体の消滅を謳う。

doukesinohane.hatenablog.com前回の記事の続きになる。密やかな結晶 (講談社文庫)作者: 小川洋子出版社/メーカー: 講談社発売日: 1999/08/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 79回この商品を含むブログ (108件) を見る肉体の消滅、というと、何か堅苦しく…

あるバンドマンが辿った読書の軌跡。

それは、偶然というしかなかった。彼の文章と音楽に出会った時、私は恐れ慄いた。あまりにも、今まで読んだ本や音楽と考え方が違っていたので。他のアーティストとはかけ離れた世界観を持っていたから。★惑いの森 (文春文庫)★十九歳の地図 (河出文庫 102B)★…

死を悼む二人の者たちについて。

ストレイテナーの物語は悲しむことに重点を置いた話が多い。以前にも記事として書いた78-0にも、明くる日のピエロにも言えることで、ネクサスに収録されているLightningには主人公の体が消えることが仄めかされている通り、そこには何者かの死の趣が濃い。死…

本読み上級者編の二冊。

最後に、文体は限りなくシンプルなのに内容ははるかに難しいこの二冊を。 破壊しに、と彼女は言う (河出文庫)作者: マルグリットデュラス,Marguerite Duras,田中倫郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1992/09メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含…

本はどうやって手に入れる?

皆さんは本をどうやって手に入れるだろうか。中古書店で買う?それとも、新刊を書店で購入する?はたまた、図書館で借りる?私は、必要に応じて、(なるべくなら新刊で購入したいけれど)使い分けている。 新刊→単行本(ハードカバー)中古→好きな作家の昔の…

本読み中級編の三冊。

本読み初心者の方へのおすすめ傑作本三冊。 - 思考は揺らめく道化師の羽初心者向けの本じゃ物足りない、もっと刺激がほしい、少し成長したいなと思うときに読みたくなるような三冊を紹介しよう。 わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫)作者: 川上未…

本読み初心者の方へのおすすめ傑作本三冊。

本読みサイトの割に全くと言っていいほど本を紹介していなかったので、この際、本を紹介しようと思う。 博士の愛した数式 (新潮文庫)作者: 小川洋子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/11/26メディア: 文庫購入: 44人 クリック: 1,371回この商品を含むブロ…

夏の囃子に曝され全てを失ったとて。

Behind The Sceneアーティスト: ストレイテナー,Atsushi Horie出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック発売日: 2014/10/22メディア: CDこの商品を含むブログ (6件) を見る(暇なのと)手ごろな解釈サイトが無かったので、私が勝手に解釈した78-0について…

個人的ガチセトリ、再始動。

気が合う人を募集しております。 SAD AND BEAUTIFUL WORLD/ストレイテナー迷走/GOOD ON THE REELTRABANT/スピッツyellow/mol-74Answer the door/She Her Her Hers嘘/秦基博目が明く藍色/サカナクションメテオ/Over The Dogs解毒される樹海/the cabs信者よ盲…

溶けた夕暮れ、魂と祈りを乗せ

世界泥棒作者: 桜井晴也出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/11/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 死ぬ直前にもし本が一冊読めるとしたら、私は迷わず桜井晴也の世界泥棒を手元に置くだろう。固定観念を鮮やかに破壊している、今…

「愛は祈りだ。僕は祈る。」

好き好き大好き超愛してる。 (講談社文庫)作者: 舞城王太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/06/13メディア: 文庫購入: 14人 クリック: 141回この商品を含むブログ (107件) を見る もう、本当に「良かった」としか言いようがなかった。固い言葉では何と…

どうか、僕が僕のままあり続けられますように。

kikUUiki(初回限定盤)アーティスト: サカナクション出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント発売日: 2010/03/17メディア: CD購入: 10人 クリック: 416回この商品を含むブログ (201件) を見る どれほど聴いたのだろうか。シーラカンスと僕。未だに、これ…

少年性を秘められた物語を探す。

少年性を秘めた作品は消費されにくい。と同時に、危うい。純粋であるがゆえに、いつ何かの衝撃に耐えかねて崩壊してしまうか分からないからだ。例えば、それはスピッツ。初期のサカナクション。現在のストレイテナー。砂糖を甘く煮詰めたような音楽。分かり…

セトリ至上主義。

セトリ(セットリスト)の選曲と、アルバムの選曲にこだわるのが昔からの習慣だ。なぜこだわるのか。単純だが、自分が好きな曲を演奏してほしいからに他ならない。だから今年、二、三のアーティストが最高傑作のアルバムを作っているので、羨ましくてならな…

消費されない作品を作るためのただ一つの決まりごと。

昔から考えてきたことがある。消費されない作品を作るために欠かせないのは、死の匂いだと思う。死の匂いがなければ、長く続く作品は作れない。ふらりとどこかに消えてしまうような儚さ。今日行ってくると挨拶をした人が、何日経っても戻ってこないような感…

不確かな世界に向けて二つのさよならを

「二つのグッドバイについて、話をしようか。」グッド・バイ (新潮文庫)作者: 太宰治出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/09メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 27回この商品を含むブログ (69件) を見るバスの中で揺られながら、本を読んでいた。太宰治の「…

スピッツに出会うまで。

きっかけは一枚のCDだった。CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection(通常盤)アーティスト: スピッツ出版社/メーカー: Universal Music =music=発売日: 2017/07/05メディア: CDこの商品を含むブログ (1件) を見るこれである。テレビで懐メロ紹…

ライブ後の興奮の熱が冷めやらぬ中で。

久しぶりに「ハコ」に行ってきた。そこで目にしたのは、純粋に音楽を楽しむバンドマンの姿だった。素のままの、策略とかなにも関係なしに、ただひたすら「かっこいい」を貫く姿。煙草の香りが立ちこめ、時刻を告げる青白いネオンがぴかぴかと輝いていた。天…

本を手に取る

夏の図書館は骨の張り付くようなにおいがする。多分消毒液の香りだろう。飛水、パラレル、流跡を借りる。長いこと読みたかったこちらあみ子を読む。新刊もあったな、この作家。川上未映子の水瓶の女の子が砕けてしまうシーンが凄く良かった。小野正嗣を読み…

私の人生を変えた究極の音楽7選。

あちこち他の曲の感想を書いていたり書き直した文章もありで長くまとまりがまるでない雑記ですが、それでもよろしければどうぞ。 シーラカンスと僕/サカナクションミスチルの深海とはまた別の傑作。灰色のビル、窒息しそうなニュース、夜の深く冷たくて暗い…

あったら欲しいバンドグッズ、独断と偏見にて。

フレデリック柄ビデオテープ型マステ(SPAM生活&リリリピートver)KEYTALKのアンティーク人形@スターリングスターver.雨のパレード雨傘@stage&new place ver・(おそろいでレインブーツ付き)サカナクション@シーラカンスくんのでっかいぬいぐるみ付き…

声が消え失せた青年が遺せるものは?

腕を失ったピアニスト。文字を書くことができない小説家。声を失った音楽家。もし、あるはずだったものが根こそぎ奪われたのなら、その人の価値はいったい何で測るのだろうか。その人が残してきた作品だろうか。はたまた、その人の人間性だろうか。 雨のパレ…

鋼鉄の翼と心臓を授けられし者。

神話を読むとき、私はもし彼らがこの時代に生きていたら何を考えるのだろうと想像する。今の時代を神は嘆くのだろうか。はたまた、喜び嘲るのか。その神になったかのような感覚を抱くことができるのがat (liberty)だ。悲劇をもろともせず、鋼鉄で出来た心臓…

優しい音が爆ぜる瞬間。

深い悲しみの中にこそ優しさは宿る。葛藤、失望、孤独。それらを抱えた人たちを優しく慰め、気持ちを楽にしてくれる、優しい言葉のような音楽。mol-74のcolorsは、そんなアルバムだ。彼らの音楽は誰にでも優しく溶け込み、包み込んでゆく。繊細なタッチで描…

青春を告げる黄昏の交響曲と、夜明けを忘れた理想郷。

溶けかけのアイス、うだるような熱、青春はあまりにも不正確で、それでいていつかはあっけなく終わってしまう物だ。儚く終わるものはいつだって美しい。桜の美しさを忘れる人がいないように、この曲もまた、強い光を放っている。あなたが踏み出す一歩は、い…

人間不信という罪は悪ですか?

夏目漱石のこころ。学生時代にこの本を中途半端にしたままどこかへなくしてしまって、大人になった今もう一度購入した。かつての私はなぜこの名作を蔑ろにしていたのだろう。それまで精神面が成長していなかったからだろうか。中学生のころに、少しだけ内容…

個人的にあったらうれしいカバーアルバムを考えてみた

順不同でいくよ。(バンド名/カバー曲名)雨のパレード/楽園(メレンゲ)ゴールデンボンバー/5150サカナクション/赤い電車ASIAN KUNG-FU GENERATION/ネイティブダンサーkidori kidori/オンリーワンダーフレデリック/アウトサイダー(またはフィールソーグッ…

変調するスピッツ、白昼に起きる。

※(大方)スピッツの記事じゃないのでご注意を!読みたい方はこちらにて。doukesinohane.hatenablog.com CDを再生した瞬間、やられた、と思った。最初聞いた時にこりゃ、次のスピッツになりうるであろうバンドだ、と思った。なんでそんなことを思ったか。そ…

僕は新たな幻惑の音楽に戸惑う。

何なんだ。いったいこれは何だ。一瞬目を疑った。とんでもない音楽を聴いてしまった。さわりを聴いただけでそう私は確信した。このアーティストは後々語られることになる。そんな雰囲気が醸し出されている。 彼らの名はmol-74(モルカルマイナスナナジュウヨ…