本を手に取る
夏の図書館は骨の張り付くようなにおいがする。
多分消毒液の香りだろう。
飛水、パラレル、流跡を借りる。
長いこと読みたかったこちらあみ子を読む。
新刊もあったな、この作家。
川上未映子の水瓶の女の子が砕けてしまうシーンが凄く良かった。
小野正嗣を読み返したくなって、マイクロバスを籠に放り込む。
真鶴を読み返す。「世界が変わった」、という場所があったことを思い出す。
チヨダ・コーキのさわりだけスロウハイツの神様を読む。
次々と本を棚から出しては積む。次々本を放り込む。石ノ目、夕子ちゃんの近道、天の方舟、愛のようだ。
ああ、また時間が過ぎている。この時間の境目が無くなる瞬間というのが、とても心地いい。
涼しいところでのんびりしたいのだ。時間に囚われるのは好きじゃない。
せかされるのはもっと嫌いだ。
薄暗い方が、昼と夜の区別が付かなくなるから、いい。
暑い暑いと言いながら、顔は充実している。