思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

サカナクションでこれだけは聞いてほしいおすすめ曲10曲。

新宝島から入った人も、アルクアラウンド、アイデンティティから入った人も、

(多分、)風から入った人も、三日月サンセットからずっと好きな人も、

サカナ好きな全ての人にお勧めする10曲。

アルクアラウンド、アイデンティティ、ルーキーは都合により割愛)


1エンドレス

2白波トップウォーター

3シーラカンスと僕

4アドベンチャー

5仮面の街

6ネイティブダンサー

7セントレイ

8夜の東側

9グッドバイ

10目が明く藍色



1エンドレス

「見えない世界に色を付ける声は、誰だ」。

数珠つなぎのように回ってゆく誰かをあざ笑う声。

それを俯瞰する人、思い悩む人、さまざまな行為がこの一曲に詰まっている。

サイレンに似た音から始まるのもポイント。

今までため込んでいた辛さを解き放ち、泣き叫ぶようなサビは圧巻。

元祖「エモい」曲。(感情的)



2白波トップウォーター

「悲しい夜の中でうずくまって泣いてたろ。」

悲しさもすべて分かってくれるかのような、包括されるかのような歌詞が良い。

白い波が瓶の中できらきらと輝いているかのような美しい音も特徴。

「浮かび続けるんだフローター」。



3シーラカンスと僕

恐らく究極の傑作。(個人談)。

暗い夜の中から動き出す一匹の深海魚が、退屈そうにあくびをしながら空に登ってゆく。

鈴を鳴らしたかのようなサビ前の電子音はため息をつくことさえ忘れてしまう。

夜、青暗い部屋の中でヘッドホンを付けて静かに聴くといい。


4アドベンチャー

ユートピア(理想郷)に飛び出さんがばかりのテンポのある曲。

「ロックと本」が重なりあう状況を考察していることを考えると、このころから模索していたらしい。

ある意味一郎さんらしい(Kleeもしかり。あれは芸術×音楽だった。)


5仮面の街

感情を押し殺し、脅迫観念にも似た機械的なリフ。

手をごしごし洗っている姿が思い出されそうなサビ、

売れ残った林檎に例えた自分と仮面の他者が衝撃的。

最近の緩い曲に慣れている人からすれば、かなり攻撃的な曲。


6ネイティブダンサー

雪が降ると聞きたくなる曲。

靴で軽やかに踊る姿は見ていて楽しい。

電子音の中で光る靴は斬新で抒情的。

雪と青春の掛け合わせが淡くて儚くて好き。

もうあれでライブ出たらいいんじゃないかな。



7セントレイ

珍しく明るい曲。(本人曰く)

煙の中を歩き出すという、新しい世界への転換期を思い起こさせる希望に満ちた曲。

メジャーデビュー曲だった(はず)

電子音が跳ねるように駆け巡り、テンションが上がる。

シンシロのリード曲であり、印象が強い。

最後の電子音が軽やかだ。



8夜の東側

静かにしんみりと、可愛らしい声から始まる。

「テレビの明かりだけで夜を読んでた」という出だしが印象的。

生活感あふれる情景描写から、いきなり跳躍する。

一郎さんから切っても切り離せない、「夜」からお別れを告げ、ゆっくりと朝の方へ歩いていきそうな歌。


9グッドバイ

さよエモ(さよならはエモーション)に次ぐ「エモい」比較的新しい曲。

太宰から影響を受けたこの曲は冥府の番人、カロンを思い出す。

何か(この世、俗世)からの離脱を図っていそうな曲。

ライブでは歌詞を変えて歌われる。悲しく胸を締め付けられそうなサビの切実さは類を見ない。


10目が明く藍色

とにかく絢爛としか言いようがない曲。

聴き終わるのにジャスト七分かかる。

青い制服のボタンをいじる主人公の描写から、いきなりライターの光にスポットライトが当たる、壮大な叙事詩のような曲。

KiKUUikiの大トリであり、一番存在感がある。

青に魅了されたきっかけの曲である。


そのほかにもワードとか黄色い車とかモノクロトウキョーとかKleeとか
涙ディライトとかミュージックとかバッハとかホーリーダンスとか踊り子とか
ナイトフィッシングイズグッドとか沢山あるけれど、この記事を読んでいる人にお任せしよう。

祝、ベスト盤発売!