あなたは本を一冊も読まないような愚かな人にならないでほしい
私が生きてきて一番痛切に思うことがある。
それは、「本をジャンル関係なしに読んでおくべきだった」ということだ。
子どものころからもっとたくさん本を読んでおけばよかった。
面白い本や、人生を変えてくれる素晴らしい本に一冊でも多く出会うべきだった。
人生をもっと愉快に、トラブルをうまく解消できたかもしれないのに、と頭を抱えて後悔している。
いまさら後悔しても遅い。
ベストセラーを笑うものはベストセラーに笑われる。
名作を読まないものは出世しない。
今ならその気持ちが分かる。
ジャンルが偏っていても、人を馬鹿にしやすくなる。
同じ馬鹿にする人たちとつるみ、出世できなくなる。
本は人と向き合うためにある。人や、自分自身と。
あなたはどうか、ちゃんと本を読む習慣を身に着けていてほしい。
読まずに後悔するのは自分自身だ。
この本に最初から出会えていたら、人を馬鹿にすることはなかったのだろう。
甘く儚い世界に酔う。
甘く儚い世界でただ一人、酔うような作品が好きだ。
それは、一見すれば独りよがりに見えるかもしれない。
自己陶酔でもあるから、気味が悪いと思われても仕方がない。
しかし、それぐらい好きなのだ。
いつ読んだか分からないが、咳をするたびに赤い彼岸花を零す男と魚の鱗を得てしまった男が出てくる小説を読んだ。
彼らは絶望していた。
自分の手で壊れやすい物を壊せばいいと思っていた。
どうもリコリスを聴くたびに思い出す。
その退廃的な小説を。
朽ち果て、歪んだ世界にただ一つ零れ落ちた紅い花のことを、
私は忘れはしないだろう。
己を刺して血を流してもなお、人を思う気持ち。
絶望の中に、死の中に見出す希望。
それがゆがんだ形であっても、人は必ず受け入れ、愛することができる。
ビジュアル系、アイドル、ポストロック、幻想小説。そのような作品には退廃が付きまとう。
見た目は違うが本質は同じかもしれない。
だって人は、自分を満たしてくれるものを探して、自分に似たものを好きになるのだから。
それを汚いものだと目を逸らして、排除するのはどうかと思う。
物事の綺麗なことと汚いことは相反するものではないのだから。
同じものの表と裏なのだから。
価値観を受け入れるということ。
長いこと借りることができなくて、予約注文してやっとこさ読んだ。
違う価値観を受け入れる。
自分にしか信用できないものを手に入れる。
他の誰かに否定されてもゆるぎないものを手に入れる。
それはとっても難しいことだ。
人を馬鹿にすることは凄く簡単だ。
他人の価値観を否定することも簡単だ。
しかし逆はものすごく難しい。
人を馬鹿にせず、ただそこにあるものを信じることが簡単と思えるなら、一回試してみるといい。
とても難しいから。
ドノがどれだけ偉大な人なのかどうかが分かるだろう。
懐が広いのかが分かるだろう。
あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。
自分自身の価値観を信じること。
他の誰かに振り回されない軸を持つこと。
世界に振り回され、歪まないためにも、それは重要なことだ。
歩のように自分の意見ばかり尊重してみすぼらしくなって自滅するか、
彼の姉のように他人に意見を求めて受け入れるか。
それはあなた次第なのだ。
こんな偉そうなことを言っている私はどうだって?
悲しいかな、私は歩に近い人生を送ってきた。
自分の意見ばかりが正しいと思い込んで、ほかの人の意見はすべて間違っていると思い込んだ。全く、恥ずかしい限りだ。
この記事を読んでいる皆さんはどうか、私のような愚かな真似をしないでもらいたい。
あなたの人生を、あなたらしく生きるために役立ててもらいたい。
本当に大切なものを見つけるための本。
- 作者: J・モーティマー・アドラー,V・チャールズ・ドーレン,外山滋比古,槇未知子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/10/09
- メディア: 文庫
- 購入: 66人 クリック: 447回
- この商品を含むブログ (320件) を見る
- 作者: デールカーネギー,Dale Carnegie,香山晶
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 1999/10/20
- メディア: 単行本
- 購入: 66人 クリック: 794回
- この商品を含むブログ (312件) を見る
物語は心を動かし、ビジネス書は行動をサポートする。
なんて言ったら大げさに聞こえるが、本当のことだ。
自分の今の気持ちを変えたいのなら小説を。
今の行動を変えたいのならビジネス書を選べばいいと思う。
大切なのは、「どっちが優秀か」なんていうものはないということ。
どちらかが好きな人もいれば、どちらかしか合わない人、どっちも合わない人もいるということ。
あなたの気持ちに合わせてどうか選んでほしい。
ビジネス書だから、自己啓発本だから、小説だから役に立たないという人は人を馬鹿にしている人だから、気にしなくていい。
いいものはいいのだから、自分の価値観で突き進めばいい。
ここで挙げた本はすべて私が実際に手に取って役に立つと実感した本だ。
あくまでも私の個人的な感想であって、違う感想を持つ人もいるだろう。
それはそれでいい。
自分と違う価値観を見つけて認めること、それを体験してもらいたい。
批判ではなく、「こういった考え方もあるんだ」という気持ちを大切にしてほしい。