思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

とあるカラオケ店にて 3

「はい、お久しぶりに来ました!毎度おなじみ、みんな大好きカラオケ大会でございます」

「今回の音楽はこちら!アルクアラウンド」

「歩く+アラウンド(周り)って意味なんだよね」

「walk around(歩き回る)っていう熟語とかけてるんだと思う」

「奥が深いですな」

「確か目が明く藍色は死者の歌だって誰かが言ってた」

「それを言うなら「遺書」だろ」

「光はーライターの光ー」

「へえ、結構この曲重いんだ」

「そしてもう七年も経つんですよ、この歌」

「瞬きをしない猫と一緒だね」

「toneless twilightとも一緒だね」

「古臭さ全く感じないね」

「マジョリティの中の?」

「マイノリティ」

「つまり、多数派の中の少数派、英語でいうと」

「サイレント?」

「マジョリティ」

アイデンティティが無い感じ?」

「どーしてええええええええ!」

「地味に自分らしさが無いって恐怖だよね」

「そこに現れた?」

「センチメンタル」

「センチメンタルジャーニー」

「伊代はまだ16だから」

「お前らみんなまとめて怒られろ」

あるバンドマンが辿った読書の軌跡。

それは、偶然というしかなかった。

彼の文章と音楽に出会った時、私は恐れ慄いた。

あまりにも、今まで読んだ本や音楽と考え方が違っていたので。

他のアーティストとはかけ離れた世界観を持っていたから。

十九歳の地図 (河出文庫 102B)

カッコーの巣の上で (字幕版)

夜間飛行 (新潮文庫)

ベロニカは死ぬことにした (角川文庫)

西瓜糖の日々 (河出文庫)


高橋國光

彼は、一体どのような本を読んで、どのような映画を見たのだろう。

ここにあるのは私が実際に読んで感じた「既視感」による選書だ。本当に読んだかどうかは定かではない。


愛の夢とか (講談社文庫)

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

今でも私は後ろ姿を探している。

ストレイテナーと小川洋子は死を悼む。

個人的な感想として、私は死というものは真っ白い光のようなものだと解釈している。

それは病棟の白さ、朝日の白さ、死人の顔の白さ、などと密接につながりあっている。

彼らの物語は人の死を嘆き、悲しむことに重点を置いた話が多い。

それは以前にも記事として書いた78-0にも、明くる日のピエロにも言えることで、

ネクサスに収録されているLightningには主人公の肉体の消滅が仄めかされている通り、そこには何者かの死の趣が濃い。

死者の歌、戦士の屍のマーチ、続くunicornといい、そこには戦争と死者の影がある。

死者の声を聞くという意味では読書も似たようなものかもしれない。

名作を書いた文豪はとっくの昔にこの世にいない。

小川洋子の初期作品は死とグロテスクが多かったのが事実だ。

消毒され、きちんと整列した機器の数々。

それらは人の命を守るものとはいえ、気味の悪いものとして映るのが普通だ。

でも彼女はそれらを「寵愛するべきもの」とした。

死をつかさどる棺でさえも美しいもののように思えてくる。

全ての生を授けるものは同時に死を授けるものであり、弔いに値するものだ。

それらは一筋の希望の光であり、尊重すべきものなのだ。


生きている限り、死者に鎮魂の思いを込めて弔う。

それが礼儀というものではないのか。


本読み上級者編の二冊。

最後に、文体は限りなくシンプルなのに内容ははるかに難しいこの二冊を。


破壊しに、と彼女は言う (河出文庫)

破壊しに、と彼女は言う (河出文庫)

デュラスの「破壊しに、と彼女は言う (河出文庫)」。

これは果たして小説なのか、それとも散文詩なのか、それとも戯曲なのか。

アリサの奇怪な行動と衝動には疑問が尽きない。

他の登場人物の会話も不十分な所がかなり多く、その解釈は読者に任されている。

まさしく「百人いたら百通りの読み方ができる」小説。


すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)

アンソニードーアの「すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)」。

ピュリツァー賞を受賞した2016年の衝撃作であり最高傑作。

もうこれは本を通り越して一つの画像と音声のない壮大な映画。

目の見えない少女と少年兵の緻密な描写をとにかく味わってほしい。


いかがでしたでしょうか。

三日間かけておすすめの本を紹介してきました。

いやー、本はあまり読まないよ!って言う方も、最近の本は何を読んだらいいか分からない!って言う方も、

ほんの少ーしだけでも本に興味を持っていただけたら、嬉しいです。


今週のお題「読書の秋」)。

本はどうやって手に入れる?

皆さんは本をどうやって手に入れるだろうか。

古書店で買う?

それとも、新刊を書店で購入する?

はたまた、図書館で借りる?

私は、必要に応じて、(なるべくなら新刊で購入したいけれど)使い分けている。


新刊→単行本(ハードカバー)

中古→好きな作家の昔の作品、文豪の作品、名作、掘り出し物

図書館→中古でも手に入らず、書店でも手に入れられない本、もしくは新刊だけれど高いもの、読みたい本


そんな訳で本が溜まる。溜まって泣く泣く処分をせざるを得なくなる。

でも本は捨てない。中古で売れるだけ売る。

何故なら、自分の本がまた、別の新しい人の欲しい本になるかもしれないから。

捨ててしまったら、勿体無い。

だったら安価であっても売った方が人の役に立つ。

私のこの本が、別の誰かのお気に入りの本になったらとてもうれしい。

なんて思っていたりする。

一番いいのは、書店で新刊を購入すること。

お金に余裕がなければ、中古書店か図書館を活用すること。

だけど、図書館オンリーは少し厳しいかもしれない。

図書館だと買うことができないし、返却にストレスを感じる人も多いから、そういった方は苦心しても最低中古で本を買っていくことがおすすめ。

自分のペースで活用して、お気に入りの本たちを見つけよう。

そこにはきっと、掛け替えのない出会いが待っている。

本読み中級編の三冊。

本読み初心者の方へのおすすめ傑作本三冊。 - 思考は揺らめく道化師の羽

初心者向けの本じゃ物足りない、もっと刺激がほしい、少し成長したいなと思うときに読みたくなるような三冊を紹介しよう。


わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫)

わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫)


まずはこれ。川上未映子わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫)

この奇怪なタイトルと中身のぶっ飛んだ内容に、度胆を抜かれる、はず。

一言でいうと、永遠にぶっ放される言葉のマシンガンです。

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

お次はこれ。村上春樹神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

表題作をはじめ、「かえるくん、東京を救う」、などどこかファンタジックなのに現実を見据えた作品が多い。

なぜならこの本が書かれた時はオウム真理教地下鉄サリン事件や震災があったから。

少しこの秋は時代背景を考えながら読んでみるのもいいかも。

もちろん、物語としても楽しめるのでおすすめ。


うつくしい子ども (文春文庫)

うつくしい子ども (文春文庫)


最後はこれ。石田衣良うつくしい子ども (文春文庫)

恋愛小説だけでなくこういった社会派の作品も書くことができるというのがこの作家の大きな強み。

この本が気に入った方は他に光 (集英社文庫)北斗 ある殺人者の回心 (集英社文庫)もおすすめ。かなりヘビーですが、読んで損はしないかと。

ドラマの原作ですので、チェックしている方もいるのでは。

本読み初心者の方へのおすすめ傑作本三冊。

本読みサイトの割に全くと言っていいほど本を紹介していなかったので、

この際、本を紹介しようと思う。


博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

言わずと知れた傑作。小川洋子の代表作。

80分しか記憶が持たない博士と、主人公の家政婦とその息子ルートの美しくも儚い数学の美についてのお話。

「僕の記憶は80分しかもたない」という印象的なセリフを覚えている方も多いのでは?

古参の阪神ファンも楽しめる(作者が阪神ファンの為)、読まなければ絶対損する一冊。


ふたたびの虹 (祥伝社文庫)

ふたたびの虹 (祥伝社文庫)

竜の涙 ばんざい屋の夜 (祥伝社文庫)

竜の涙 ばんざい屋の夜 (祥伝社文庫)

「おばんざいシリーズ」と呼ばれる、読むと心がぽかぽか温かくなる二冊。

おかみさんの美味しそうなお料理に舌鼓をきっと打つはず。

一つ一つのエピソードが泣かせてくれます。おすすめ。