思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

ある一日

人がやって来た。
私は吉田修一辻村深月の本を渡した。

また、次の日には別の人がやって来た。
私は石田衣良桐野夏生の本を渡した。

また、次の日来た人には西加奈子山田詠美を。

次の人には司馬遼太郎山本一力を。

次の日、私は違う人にラブクラフトを渡した。

次の日、私は別の人に夢野久作を渡した。

私は森博嗣森見登美彦を渡した。

最後に、私は宮本輝小川洋子を渡したのだった。

水の中で生まれる輪廻。

流跡 (新潮文庫)

流跡 (新潮文庫)

私たちは生まれた瞬間の記憶を知らない。
中には記憶を授かっている人もいるようだが、そういう人は稀だ。

男はどうやら物語の記憶を持ちながらこの世界を漂っているらしい。

主人公は水に飲まれながら川を船で渡り、ゆらゆら、くにゃくにゃと流れる。 下っていくうちに様々なものに出くわす。

粘っこいものや、さらさらとしたもの、ぷくぷくとした白い木の実。かと思えば黒光りするうなぎや、大量のキノコに囲まれ 、体を絡め取られたりする。


粘っこい白い雨の中で 大量の 巨大金魚が瘤のできた大きな頭をゆすりながら、えごえご踊る。
はれ、ひやらひやらという掛け声にあわせて。
それは突然降って沸いた祝祭のようだ。

生きるということ自体が 川のように流れて行くことかもしれない。
初めから終わりまで一貫せず、次々と輪廻に巻き込まれて行くことだと思うのだ。
運命にあらかじめ定められた道などないのだ。

私も川の流れのように 永遠にこの世界を巡っているような気持ちになった。

中学生時代の夢

私には夢があった。
絵を描くことが好きだった。
それはお世辞にも上手いとは言えないものだった。
それでも私は幸せだった。
友人も、私よりは遥かに上手かった。
なにより一番身に堪えたのは、父が絵が上手い人だったからだ。
いつも嫌みたらしく人の顔をスケッチしては、私に見せていた。
私はそんな父を許せなかった。
画才も文才も何一つ与えられなかった、その不遇を恨んだ。

つまり、私は放棄したのだ。
逃げ出すことで、自分が求めている夢を。
自分の実力がないからこうなっているのに。私はそれを認めようとはしなかった。

私は表現者になりたい。
それは今のままではなれない。
分かっている。

中学生時代に描き写していた、
一郎さんをはじめとする、たくさんのロックバンド。
わざわざ美術室にまで持ち込んだ、ロック雑誌と汽空域の歌詞カード。

いつか描きたいと思って描けずじまいの、シーラカンスと僕のイラスト。限りなく青い、深海の色。

もう一度あの頃の夢を果たしたい。
文章もきちんと書いて、絵もきちんと描いて。
もう一度、私はやり直す必要がある。

今からでも間に合うのだろうか。

袋小路の鼠が知らない世界。

同じ過ちを繰り返す。
もうこれで何度目だろうか。

もうだめだと思い込んで投げ出したくなって、目を伏せてしゃがみこむ。

そんな毎日が続いている。

再生ボタンを押すだけで、世界に色が一つ足される。

苦しさを少しでも和らげてくれるのなら、こんなにありがたいことはない。

心は憂鬱でも、見上げる空は美しい。たとえ雨が降り続いていても、着実に前を向いて行けるなら後悔はない。

この音は苦しみを和らげるもの。
そして、すべての人を癒すもの。

私は、そういう人でありたい。


人生をライカと歩んだ男

LEICA,My Life (ライカ、マイライフ)

LEICA,My Life (ライカ、マイライフ)

人生をライカと共に歩んだその美学。そんな贅沢な話が「あたし」という一人称で軽快に語られる。
イカは掛け替えもない自分の目であり、自分の次に大事な身体の一部なのだ。彼はこう断言する。カルチャーは変遷してもカメラを持つ人の精神は変わらない。この本にはそういった普遍的な愛を感じる。もしこの世がデジタルだけのカメラ人生になったなら、それは砂を噛むような日々になるだろう。この一言で、なぜ今再びフィルムカメラが脚光を浴びているのかが判った気がした。

ちなみに私は未だにデジタルカメラの使い方を体得できていない。
手間は人を煩わせるものではなく、そこに秘められた、目に見えない大切な気持ちを汲み取るために必要なものではないのかと。それは映画の余白のように、必要不可欠なものではないかと思ったのだ。

今は亡き父の自動フィルム巻き上げカメラを触っていた、幼き日の自分を思い出す。それは子供の手にはあまりに大きく、黒くずしりとしていた。現像するまでどんなものが撮れるか分からない。あのときのカメラには、そういった食玩を開ける時のような、わくわくするような楽しみがあった。
今見えている世界を鮮やかに切り取る。私が写真を好きなのは、そういう可能性を秘めているからだ。

生き損なったひとつの魂の為に

果たして、私が求めていた事実とはこんなものだったのだろうか?
そんな甘ったるいことだったのだろうか?

交差する電燈の信号は、蒼白い火花を散らします。
そのひとつひとつの流れは独立した軌道を持ち、ほかの流れとまじりあうことはありません。
けれども、長い長い旅のあいだ、ごく稀に、ならんで疾ることがあります。その交流を、遣瀬ない思いを込めて生涯と呼ぶ人々がいます。ー賢治先生p117

僕はね、音楽のような文学が書きたいと思うんだ。ちょっと矛盾したような言葉だけど、文学の中に、音楽の持っている要素を自由に流し込めたら、どんなにか素晴らしいだろうと思うよ。ー草の花p209

私の勘が正しければ、今必要とされているのは、文学を音楽に落し込むということだ。

汐見は藤木にも、藤木の妹にも本心を悟られずに死んでいった。
彼が成し遂げようとしたことを私は知りたいのだ。

そして、私はー望むなら、果たしたい。

私の使命は何だ?

存在意義を指し示すだろう、今世紀最注目株の音楽。

僕の声は、消えた。


最近はAoを聴いている。

元、レゾンデートル(raison d'être)。

タイトルの意味は哲学用語のひとつ。フランス語で「存在理由」あるいは「存在意義」。

レルエが格好良すぎて息がつまりそうです。

さよならマジョリティ

さよならマジョリティ

夜はモーションから見事に持っていかれ、さよならマジョリティの驚異的な中毒性に溺れてしまいそうです。

あと好きなのは、yahyelとthe fin.。

音に風を感じる。濃厚。

こういうのを「グルーヴ感」
(音にノれる感覚)というのだろうな。

クラブミュージックの進化。音楽は生き物。そして、無数に産み出される彼らに命を与えるのは私たちだ。

Human [歌詞 ・ボーナスCD付 / 2CD /国内盤] 初回限定盤/先着特典ミニブック付 (BRC567LTD)

Human [歌詞 ・ボーナスCD付 / 2CD /国内盤] 初回限定盤/先着特典ミニブック付 (BRC567LTD)

There※通常盤

There※通常盤

LILI LIMITの新曲も良い。

LIB EP

LIB EP

音は生き物で、聴き手の私たちが成長するように、呼吸をしながら少しずつ大きくなってゆくのだろう。


懺悔参りが好きすぎて辛いのです。