思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

利益だけが正解ではない

私たちはいつしか、大切なものを忘れてしまった。

儲けや利益を最優先にして、一番大切なものをないがしろにしてきた。

今なら分かる。利益はあとからついてくるものであって、追い求めるものではない。

自分のために本をコレクションし、飾り立てて読もうとしない男、

本を裁断して要らないところを切り捨てようとする人、

自分が正しいことを押し付けようとする人。
(本人は自分の意見だけを盲信し、目隠しをされて盲目になっているので、本当に正しいことかどうかを理解するまでに膨大なヒントと時間がかかる。)

私もその内の一人だった。

そのものが好きという感情はそんな理屈で説明できるものではない。

理屈を並び立てることは美しいことではない。

大事なのは好きな気持ちを追い求め、

それを叶えるための努力をすることだと。

今まで私の目を覆っていた暗闇が晴れてゆくようだった。


本を守ろうとする猫の話

本を守ろうとする猫の話

既存のシステムが崩れる年

上半期を短く言うと、1995年の再来だ。

あの麻原彰晃の死刑執行をはじめ、

台風や地震、洪水といった自然災害、

それもすべて私たちが、恵まれていることを忘れたせいで起こった一種の報いではないか。

村上春樹は、著書アンダーグラウンドで、麻原は「記号」としての物語を紡いだと言った。

ETが、がらくたを組み合わせて、宇宙へ発信するアンテナを作ったようだとも。

素材は何でもよくて、彼は称号としてのジャンク(がらくた)の物語を用意したのだとも。

そして、オウム真理教地下鉄サリン事件、二つは麻原のがらくた的な物語として、成立したのだ。

そんな彼一人の身勝手な理由で、一般人が殺され、未だに消えぬ後遺症を残したのだ。

この世界にまた、新たな麻原彰晃のような人物が登場しても不思議ではない。

優れた知性、いやカリスマ性を持ち、

人を引きずり込むほどの魅力を持って、

他者を洗脳できる程の能力を持つ人物が。

それは同時に、この世界の既存のシステムの崩壊を示している。

必ず、そこに君臨するのは既存の人物ではない、ということだ。

あなたかもしれないし、私かもしれない。

いや、人間でないものが君臨してもおかしくない。

高度テクノロジーで賢くなったペットたちが地位を獲得しても不思議はないのだ。

sfの世界だと笑い飛ばせる時代は終わったのだから。

上半期聞いていたものを述べるだけの日記

その線は水平線

その線は水平線

ランキングとか、順位とか、もうそういうものを目ざとくチェックするのは嫌だ。

攻撃的で、目先のことしか考えていないものには疲れてしまった。

だからもう一度、原点に振り返った。

最初聞いたとき、何て優しいのだろう、と思った。

攻撃的で、快楽と暴力が合わさっている世界からは無縁の音楽。

あるいは、澄みきった海。

夏の日差しを浴びて、透明に光る。

優しく、包み込む、そんな世界。

私はそういった世界で生きていたいと思う。

欲望にまみれ、自分らしさも失って、誰かの受け売り、
どこかで見たことがあるようなものを
見続けるのは嫌だ。

この道を

この道を

  • 小田 和正
  • J-Pop
  • ¥250

個人的に聴いていたのが、これ。

明るさも、苦しみも、すべて受け入れて生きていきたい。

好きなものを好きと貫くことしか、私にはできない。

サボテンミュージアム

サボテンミュージアム

シュート・ラヴ

シュート・ラヴ

流行りは他の人に任せておけばいい。

私は私のルールで進みたい。

雨降る夜に聴きたい歌は

雨っぽい歌を集めてみました。

湯原昌明

雨のバラード

雨のバラード

雨のパレードを聞くたび思い出すのは私だけでよろしい。

yuragi meguru kimino nakano sore

yuragi meguru kimino nakano sore

  • 雨のパレード
  • J-Pop
  • ¥250

雨の日こそ、踊りたい。
そんな日はこれ、揺らぎ巡る君の中のそれ。


カフカ/雨

雨

デジタル配信だけなのが辛いけど、好きです。対となるマネキンもよき。


GOOD ON THE REEL

雨時々僕たちまち君

雨時々僕たちまち君

雨と言えばこの人たち(公認)。


サカナクション

Ame(B)

Ame(B)

雨とつく歌は二つあるけれど、私はシンシロに収録されているBの方が好きです。何で傘を差すと風が吹くのかは、謎です。

宇多田ヒカル

真夏の通り雨

真夏の通り雨

今が聞きごろです。雨と言えば。
柔らかい雨。慈雨というのかな、恵みの雨。

そんなわけで雨っぽい歌を集めてみました。ゆっくり聞いてみればいかが?

ある一日

人がやって来た。
私は吉田修一辻村深月の本を渡した。

また、次の日には別の人がやって来た。
私は石田衣良桐野夏生の本を渡した。

また、次の日来た人には西加奈子山田詠美を。

次の人には司馬遼太郎山本一力を。

次の日、私は違う人にラブクラフトを渡した。

次の日、私は別の人に夢野久作を渡した。

私は森博嗣森見登美彦を渡した。

最後に、私は宮本輝小川洋子を渡したのだった。

水の中で生まれる輪廻。

流跡 (新潮文庫)

流跡 (新潮文庫)

私たちは生まれた瞬間の記憶を知らない。
中には記憶を授かっている人もいるようだが、そういう人は稀だ。

男はどうやら物語の記憶を持ちながらこの世界を漂っているらしい。

主人公は水に飲まれながら川を船で渡り、ゆらゆら、くにゃくにゃと流れる。 下っていくうちに様々なものに出くわす。

粘っこいものや、さらさらとしたもの、ぷくぷくとした白い木の実。かと思えば黒光りするうなぎや、大量のキノコに囲まれ 、体を絡め取られたりする。


粘っこい白い雨の中で 大量の 巨大金魚が瘤のできた大きな頭をゆすりながら、えごえご踊る。
はれ、ひやらひやらという掛け声にあわせて。
それは突然降って沸いた祝祭のようだ。

生きるということ自体が 川のように流れて行くことかもしれない。
初めから終わりまで一貫せず、次々と輪廻に巻き込まれて行くことだと思うのだ。
運命にあらかじめ定められた道などないのだ。

私も川の流れのように 永遠にこの世界を巡っているような気持ちになった。

中学生時代の夢

私には夢があった。
絵を描くことが好きだった。
それはお世辞にも上手いとは言えないものだった。
それでも私は幸せだった。
友人も、私よりは遥かに上手かった。
なにより一番身に堪えたのは、父が絵が上手い人だったからだ。
いつも嫌みたらしく人の顔をスケッチしては、私に見せていた。
私はそんな父を許せなかった。
画才も文才も何一つ与えられなかった、その不遇を恨んだ。

つまり、私は放棄したのだ。
逃げ出すことで、自分が求めている夢を。
自分の実力がないからこうなっているのに。私はそれを認めようとはしなかった。

私は表現者になりたい。
それは今のままではなれない。
分かっている。

中学生時代に描き写していた、
一郎さんをはじめとする、たくさんのロックバンド。
わざわざ美術室にまで持ち込んだ、ロック雑誌と汽空域の歌詞カード。

いつか描きたいと思って描けずじまいの、シーラカンスと僕のイラスト。限りなく青い、深海の色。

もう一度あの頃の夢を果たしたい。
文章もきちんと書いて、絵もきちんと描いて。
もう一度、私はやり直す必要がある。

今からでも間に合うのだろうか。