思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

セトリ至上主義。

セトリ(セットリスト)の選曲と、アルバムの選曲にこだわるのが昔からの習慣だ。

なぜこだわるのか。

単純だが、自分が好きな曲を演奏してほしいからに他ならない。

だから今年、二、三のアーティストが最高傑作のアルバムを作っているので、羨ましくてならない。

今ライブに行くことができる人は凄く恵まれていると言っていい。

アルバムが良いということは、そこで引っさげて行われるライブの選曲が100%良いのである。

ということは、今この時期に最高の音楽を演奏してくれるということである。

ライブにいけないのなら、お金を貯めてライブDVDを買えばいい。

いくら時間がかかってもいい。一年ぐらいしてから買ってもいい。現に私がそうしている。

お金を貯めて、好きなアーティストにここぞとばかりにつぎ込む。こんな幸せなことはあるだろうか。

自分が一番好きなアルバムの、一番好きな選曲を手に入れることができれば本望だと思っている。

今年KEYTALKやオーラルに行ける人は運が良いと思う。テナーもしかり。

雨のパレードもIvyも神がかっている。

反対にセトリがアレだったらいくら好きなアーティストでも行かないということもある。

それは誰かは言わない。言ったらその瞬間、ファンの方に迷惑をかけそうだから。

一回セトリにこだわって音楽を聴くのも良いかもしれない。

納得がいかないのなら、自分で選曲をして一人DJを楽しむのもありだと思う。淋しい?そんなことはない。むしろ楽しい。

消費されない作品を作るためのただ一つの決まりごと。

昔から考えてきたことがある。

消費されない作品を作るために欠かせないのは、死の匂いだと思う。

死の匂いがなければ、長く続く作品は作れない。

ふらりとどこかに消えてしまうような儚さ。

今日行ってくると挨拶をした人が、何日経っても戻ってこないような感覚。

もしくは「死んでしまうかもしれない」と思わせる描写。

主人公、つまり筆者の存在が限りなく消えていて、そこに情景だけが残っているような作品。

水のように、普遍的な描写。

一見新しそうに見えて、実は根っこは保守的で、王道をなぞった古典的な作風。

そして仄かに漂うエロさ。

それらが長く愛される作品の共通点だと思う。

不確かな世界に向けて二つのさよならを

「二つのグッドバイについて、話をしようか。」

グッド・バイ (新潮文庫)

グッド・バイ (新潮文庫)

バスの中で揺られながら、本を読んでいた。

太宰治の「グッドバイ」。

そう、未完の小説である。

私の手元にあるのは前の持ち主が一生懸命線を引き引きした文庫本で、

読んでいると作者ー、太宰治自身の苦悩が手に取るようにわかる。

そして、垣間見える人間の愚かさ。

医療用エタノールの水割りを「サントリイウイスキイ」なんて呼ぶ場面には、哀し過ぎて滑稽とさえ思えた。

人を内心で疑ってばかりの卑屈な男が見るも無残に女に溺れ、

酒とクスリに漬かり、落ちぶれてゆく様を描いた「人間失格」とはまた別の雰囲気がある。

フォスフォレッセンスの「なんて花でしょう」という言葉の余韻が消えない。

この言葉、和訳すれば「燐光」である。

何故このような言葉を太宰は選んだのだろう。

なぜ、なぜという問いが尽きない。

冬の花火の数枝の「日本の人はなぜ、こんなにも指導者になりたがるのか」と問うシーン。

何故好きなのか。それは教えるほうが、教えられるよりも都合が良いからだ。

言いたいことを言いたいだけ言うことを教えると勘違いしている人たちにとっては、その方がよっぽど心地いい。

批評せれてちっとも高く評価されない自分のこと、プロレタリア文学を「ひどくて目がしらが熱くなって読めない」と言い切り、

時代を「あほらしい」とばっさり切り捨てる潔さ。

なんだ、いつの時代も人の考えることは皆同じなんだ。

この短編集が太宰の独白そのものだった。


この本を読んだことがない人でも、このタイトルに聞き覚えのある方は感が良い。

そう、サカナクションのシングル、グッドバイ。

グッドバイ

グッドバイ

ここには多分ないな


この世界から何を切り出して歌うのか。

山口一郎が不確かなりにも、自分自身で編み出した「人間」「東京」の可笑しさと哀しさ。

不確かな果実の中には何が詰まっているのだろう。

まだ見たことのない未知の世界か、それとも思い出したくもない人々の嘲笑か。

それは果実の中を切り出したものにしか分からないのだろう。

それでも彼は歌う。哀愁を背負ったものにしか分からぬ声で歌い続ける。

歌わないと世界には伝わらないから。

私たちという外側の人間に伝わらないから。

「見つけてしまった」人間が歌う、自分自身の生き様。

その哀切な声で彼は今、何を切り出すのだろうか。

ありふれた幸せと大切な別れ。

わざと変えられたライブでの歌詞に、私は何を見出すのだろう。


人間はなんて空しい生き物なのだろうか。

そして、人間はなんて儚くとも強い生き物なのだろうか。

二つのグッドバイはそう伝えている。


ああまだ読み足りない、聴き足りない。

そう思える七夕の夜でした。

もとから性格が悪い人と、悪くなかった人の違い

「世の中には本当は悪い子じゃないのに、悪い子に仕立てあげられている子もいるよね」

「その人たちはこき使われている。悪い人のそばにいるから悪くなってる」

「彼らを助けるにはどうしたらいいんだろう?」

「かわいそう、首輪付けられて、おもちゃみたい」

「誰かが気づいて、何か言ってあげるんだよ、それしかできない」

「芸能人にもいるよね?本質は悪い人じゃない人」

「最初は気付かなかったけれど、本当はいい人」

「彼らを救うことはできるのだろうか?」

「きっと、頭がおかしい人だと思われてるだろうね」

「知ってる人がいっぱいいて、守ることが出来たら、救われる」

「心のよりどころ?」

「そう」

「本当に悪い人は、自分が悪いって認められない」

「元々よかった人は、弱みも見せるし、可愛いところもある」

「そこの違いが判れば大丈夫」

とあるカラオケ店にて 2

「粉雪で冷やせばいいじゃん。清く淡い心で白く染めてしまえ」

「誰があんなキー高いの歌うんだ」

「俺が行きます。こなあああああゆきいいいいいい(裏声)」

「やめろー!」

「いい加減にしないとフォーリミ歌わせるぞ、お前ら。swimもまっとうに歌えねえだろ」

メニコンの歌あったよな」

「もっともっと行ってみる?」

「それはclimb」

「Give meかわゆす」

「ぎみぎみ」

「ギブミー君の一生分」

「ワタリドリもなかなか骨ありますよ。ようぺいん様様」

「cityいきまふ(もぐもぐ)」

「せめて口の中のもんを食い終わってからにしろ、名曲が台無しだ」

クリープハイプ歌うなら?」

「そりゃもう火まつりしかないでしょ」

「キノコ全開の時好きだったな、良く聞いてたわ」

「出口を探しているんですが、あなた知らないかあああああああ!?」

「おいそこの空席に鞄おいてるんじゃねえええええええええ!」

「誰がREMと乗車権を叫べっつった」

「叫べーというーこの確かな心をー」

「もういい分かったから、どうせ歌うなら閉じた光にしてくれ」

「今以上に生きた証求めただ彷徨って」

「さまよってーとほうにくれたって」

「もう行っちゃっていいよね?ストレイテナーでSKYLAB HURRICANE!」

「おいお前ら、ストップ」

「あおいーとばりがー」

「餅が、餅が、餅が食いたいわー!」

「もういいから!」

とあるカラオケ店にて。

(カメラ目線で)

「えー、それでは聞いてください、アジカンで、新世紀のラブソング、どうぞ」

「高まるぅ!」

サカナクションでアドベンチャーいただきました」

「えー、皆さん聞いてください、みんなおなじみ、サザンでミス・ブランニュー・デイ

「いやそこはメリケン情緒か死体置き場だろ」

「栄光の男はいいぞ」

「メモリーズ・カスタム行っちゃう?見えそうなとこでハラハラ行っちゃう?」

「それでは一曲どうぞ。曲はスピッツで、甘ったれクリーチャー!」

(さえぎって)「先生でもなんにも知らないっ♪」

「「神様になれますように」あるんだ」

「神になれたら?」

「お兄さん、どうします?全く選曲が進まないんですが」

(少し黙って)「…えー、役に立たないんで俺が一曲歌います、曲はゆずで慈愛への旅路

「何それ超王道」

「落ち着いて落蕾を歌える奴はいないのか」

「真面目な人?」

「それはsuzumokuだ。西瓜燃やさない方だ、俺が歌いたいのは」

「じゃ、太陽と花」

「もうヤキトリズムでいくない?それかゴイステで」

「皆さんありがとうございます。締めくくりに一曲歌わせてください、イモが飛んだ」

「やめれ」

スピッツに出会うまで。

きっかけは一枚のCDだった。

CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection(通常盤)

CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection(通常盤)

これである。

テレビで懐メロ紹介があるたびに、画面にくぎ付けになって見た「空も飛べるはず」。

そこにあるのは秘められた嘘や、ひっそりと隠し持つナイフや、ごみで埋もれた町とそれらを照らす満月だ。

「それでも」君に笑っていてほしいと歌うのだから、相当な思いだろう。

実際に空も飛べるんじゃないか、とは思わないが飛べたらいいな、とは思う。

赤い血のような絵の具が舞うPVの演出が妙にシュールだったことを覚えている。



イントロとテンポがいいロビンソン、錆が印象的なチェリーと続くこの三曲はメガヒット曲であると同時に、

純粋な気持ちの中に毒があるというギャップもかなりある曲のようだ。

三日月ロック[Analog]

三日月ロック[Analog]



さわって・変わって。みかんが頭上からてんこ盛りに降ってきそうなミカンズのテーマ。

みかんに埋もれて、怖いけれど少しおもしろそうだとも思った。

でも一番好きなのはババロアだった。

なぜ宇宙にババロアが出てくるのだろう。宇宙の中でぷるぷると震えるババロア

毛布は翼になり、世界を包み込む。

普通ではありえないものの組み合わせがかもしだす不思議な雰囲気が、とても好きだった。

エスカルゴも捨てがたかった。


「駄目だなゴミだな」といった否定的な言葉から始まる冒頭は、

ゴミがきらめく世界でと歌う空も飛べるはずにも、俺のせいだと自分を責めるワタリにもつながる。

ざらざらの世界。カタツムリの表面を示しているのだろうか。


断言しよう。スピッツは只、ふわふわしたバンドではないと。

ミスチルやサザンのように分かりにくいが、初期は確実にブルーハーツエレカシに影響を受けたロックだと。

青春生き残りゲームや俺のすべて、メモリーズ・カスタム、僕はジェットを聴けば分かる。


桃をはじめ、8823もラズベリーも猫になりたいも俺の全ても好きだけど、これ以上書くとときりがないから終わろう。

ぜひ、サイクルヒットで終わらずに、ほかのアルバムにも手を出してほしい。

そしてどんどん聴きこんで、お気に入りの一曲を見つけてほしい。

CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection(通常盤)

CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection(通常盤)