思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

猫にも鳥にも成れぬヒトの私は、

猫じゃらし

猫じゃらし

VANDALISM

VANDALISM

昏睡クラブ

昏睡クラブ

最近はテナーのVandalismばっかり聴いていました。blue moon lightも。
宮本輝さんは面白いですね。三千枚の金貨と星々の悲しみが好きです。信用できる作家のひとりです。

ジョニーは戦場へ行った、傑作でしたので、忘れた頃にどこかで感想を書こうと思っています。再読ばかりで肝心の感想が進みません。ベロニカは死ぬことにしたの感想もまだです。川上未映子大先生のあこがれも同じくです。はよ書けや私。

いつになったら、小笹くんと首藤さんを間違えずに覚えるんでしょうか。ヒゲダンに至っては、メンバーの顔を全部覚えるだけで混乱します。

Official髭男dismは雨のパレードとKEYTALKから借りてきたのではないのですかね。ルックスを。かなり失礼ですね。
曲はフレデリックよりのキャッチーなメロディですが。生憎私の眼球は、藤原さんと小笹くんしか識別できません。

洋次郎以外識別できないRADWIMPSよりはマシだと思います。新曲の猫じゃらし、そこはかとなく聖性というか、神聖さを感じるのは私だけでしょうか。BUMPは全員分かるのにね!

※ラジオのKEYTALKの声の識別は、難易度鬼クラスです。本当です。八木氏しか分かりませんでした。声質は四人ともほぼ一緒です。声の収斂進化ですね。全員声低いしね。はい。どうやら私は彼らを顔で識別していたようです。

ロックバンドに強いはずの私ですらこうなので、知らない人なら、谷口鮪さんと深瀬さんの区別と同じくらい手こずると思います。私は一応識別できます。

こらそこsumikaとNovelbrightのほうが、100倍難しいとか言わない。

恋の去り際とイエスタデイ、すてんばいゆが好きです。タイトルを聞いて、最初ビートルズかと勘違いしました。

SOLの時間変更で、ますます私は一郎さんとようぺいんの癒着を感じています。口は悪いけど親しい兄弟みたいですね。インスタライブでひょっこり顔を出すふたりが好きです。

※追記:二人してMステに出るらしいですね。タグが可愛い。#よぺナクションと#いちろサンドロスって。

臆病者たちのためのマーチ

おいでよ

おいでよ

一方的に差別され、孤独になり、
世界を孤独に見つめ、
たったひとりの信頼すべき人間がいる、
登場人物が出てくる小説が好きだ。
例外もあるが。

それは小鳥の叔父さんであり、
リトル・アリョーヒンであり、
マイクロバスを運転する信男、
灯台を守り続けるシルバー、
自殺を試みて失敗するベロニカ、
飛ぶことを求めたジョナサン、
差別に苦しむ丑松、
同業者の男に惚れ込んだ夏目、
宇宙の精力を制作した栗山さん、
友人を神格化した汐見である。

愚かに映るのかもしれない。
不器用で、近づきがたいイメージを抱くのも仕方がない。
生きることだけで精一杯なのだから。

彼らの方がずっと、聞こえのいい言葉で取り繕う人間より、遥かに信用できる。そんな風に考えてしまうのは、私が捻くれているからだろうか。

ぼくのゆうれい そばにいたいよ
ぼくのゆうれい そばにおいでよ


People In The Boxの「おいでよ」「八月」「沈黙」を聴くたびに泣きそうになるのはなぜなのか。

ああきっと、泣く寸前の囁き声で呼びかけているような歌が好きなんだろうな、

特に「そうさ きみの世界で選べるのは」「夢を視ることに目醒めるのさ」「青い窓に白い空」のあたり。




沈黙は遠藤周作というより、
村上春樹の「氷男」だ、多分。

そして「おいでよ」は
川上未映子の「十三月怪談」だ。

統率された世界の片隅

登場人物たちは、強い主張をすることもない。
だが、沈黙の圧力が静かに横たわっている。  

彼はその夜、自宅のガレージの中で死んだ。
N360の排気パイプにゴム・ホースをつないで、窓のすきまをガム・テープで目張りしてからエンジンをふかせたのだ。-ノルウェイの森(上)/p51

何の予兆もなしに、自ら命を絶ち切ったキズキ。
ここでは、名もなき一人の青年だ。

彼女は最初から、空白を胸に抱いていた。
「彼」の存在が消滅することによるトラウマによって。

蛍の光は、僕(ワタナベくん)には捕まえられない。
いつでも彼の行く一歩先にあったからだ。

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a bird

真夜中、青白い月から斜めに射し込んだ光が男を照らし出す。
彼は月夜に輝く星をじっと見ている。
空は見るそばから凍りつくほど澄んでいて、雪がちらついていた。

東の方から鐘の音が聞こえる。
それを耳にした途端、男は慌てたように助走をつけて走り出した。
脚が霜焼けになりそうだ。

走っているそばから、ぞわぞわと背中が泡立つ。
産毛の一本一本に、白くてしなやかなものが植え付けられてゆく。
すでに体は、得体の知らぬ鳥になっている。

その割に、男は動じる気配がない。
これ以上どんなことが起ころうとも、なにも恐れることはない。
そう言い聞かせているようだ。

彼はありったけの息を吸い込むと、
翼を広げた。

山の麓の巨大な塔に釣り下がる、
古びた黒い鐘。

あれを鳴らす為なら、どんなに理不尽なことでも乗り越えてみせる。
目が、真摯に訴えている。

背中の翼を、思い切り羽ばたかせる。
真新しいそれは純白に輝いて、眼前に銀色の水平線を映し出す。

俺は、これから会いに行くのだ。
自らの過ちで失ってしまった、彼女を取り戻すために。

「個性派」読書好き集まる ゆずりは読書会へようこそ

ゆずりは読書会。
ここでは五人の「本好き」たちが、
月に一度集まって討論をしている。
討論と言っても、個々の主張がぶつかるような過激なものではない。
いたって穏やかなものだ。

会長は萩沼栞(はぎぬま・しおり)。
先代の楪彰(ゆずりは・あきら)から遺志を受け継ぎ、この読書会を経営している。
運営費の一部は支援基金として、NPO法人に送られる。

病で急逝した楪は、「子供たちのための図書館を作る」のが夢だった。

現在、会長の萩沼が実現に向け、本の魅力を日々発信中。
読書会の風景をインターネット配信することもあり、人気を集めている。

好きな小説家は太宰治夏目漱石
「こころ」と「人間失格」を愛読している。


現在、メンバーは以下の四人。
一人目は、田中信弘(たなか・のぶひろ)。
三国志に造詣が深く、暇さえあれば手に取っている。
時代小説も好きで、池波正太郎の小説は全巻読破した。

気さくな人柄が男性を中心に受け、ムードメイカーとしての地位を確立しつつある。

大きなお腹がチャームポイント。
メンバーからは「タヌキさん」と呼ばれている。


二人目は凛棚修平(りんだな・しゅうへい)。
五歳でシェイクスピアハムレットを読了。
弱冠十歳にして、第一回目の読書会大賞を受賞した。
そのほかにも論語を暗記するなど、常人離れした記憶力と読解力を持つ。

切れ長の瞳と度の高い眼鏡が、彼を年齢より大人びて見せている。
その審美眼は本物だ。

付いたあだ名は「現代の澁澤龍彦」。
受賞時に彼が紹介したのは、トマス・ピンチョンの「重力の虹」である。

将来はフランス文学を研究するために、博士号を取得することを念頭に入れている。


三人目は「エンタメ小説の女王」安藤なつめ。
背中まで伸びるツインテールが特徴的だ。
メンバーからは、『ナツメグさん』の愛称で親しまれている。

彼女の書評は、読者に語りかけるようであり、女性からの人気が高い。
流行のエンタメ小説なら、ほぼ全てを読んだと言っても過言ではないだろう。

好きな小説は恩田陸の「夜のピクニック」。
青春ものと、小さな動物が出てくる小説が好みらしい。


四人目は森田一文(もりた・かずふみ)十五歳。
凛棚に次いで若い。
読書家の父親に育てられたお陰で、
無類の本好きに育つ。

好きな小説は、ミヒャエル・エンデはてしない物語
前述した三人より地味な印象を受けるが、ひとたび本について語ると、態度が一変する。
非常に饒舌になり、一度語り出せばゆうに二時間経過することもざらである。

別名「寡黙なソクラテス」。
国永より博識ではないのだろうかという憶測が、視聴者によって立てられている。
難関校のひとつ、xx高校へ進学することが推薦で決まった。

唯一無二の個性が光る会員たち。
夜が深まるこの時期、本が読みたくなる季節である。
この機会に彼らと共に語り合ってみてはいかがだろうか。


ゆずりは読書会は、東京都杉並区××南1-5-14。
赤茶色の屋根の建物が目印。
開催日は毎月15日(平日:17:00~、休日10:00~)
隔月は動画配信を行う。
現在、新規会員募集中。

電話番号:03-5xxx-22xx。
携帯番号:080-56xx-8800(萩沼)まで。

紙面編集:江久承平
(※この記事は架空のものです。実在の人物や団体などとは関係ありません。)

start a hare

彼女はいったい、何を作るつもりなの?
ー自分好みの「楽園」さ。

いい所だよ。
甘くておいしいさくらんぼのような果実が、たわわに実るだけの世界さ。
子猫のお嬢さんも、食べてみないかね?

ところで、いのししのおじちゃんはいったい誰?
ーおやおや。いきなり私に質問をするかね。

私はただの黒子。
彼女たちを護る、寡黙な付き人さ。
これといった役もないけど、
とても大切なお仕事なのさ。

その割に、喋ってることが多過ぎない?
ーははは!こりゃやられた!
痛いところを突くお嬢さんだねぇ。

だが、くれぐれも言葉には気をつけなさい。
自分に返ってくるかもしれないからね。
おじちゃんとの約束だよ。

a rabbit hutch

うさぎうさぎ。なにみてはねる。

くろうさぎいちわが、
ちゃいろのうさぎじゅうわを
たずさえて、
ぶたいのうえをはねまわる。

ねえねえ。
ーなんだい。

あたし、お話しするのが好きなの。
とくにおとぎばなしがいちばんすき。
今からいくつか質問するから、
こたえておじちゃん。
ーいいよ。

彼女はどうして、十羽いる仲間を人質に取ったの?

ー嫉妬していたからさ。
十羽のうさぎ達は、
一羽一羽素晴らしい特技を持っていた。
彼女はそれに比べてできそこないだと、
自分で自分を責めていたのさ。

あと、プライドが非常に高かった。
「自分より目立つものが許せない」
それゆえ歪んだ愛が、彼女にはあった。
気持ちがおかしくなってしまったのさ。