子どもの頃、空「を」飛べるはずじゃないかと思っていた。
そんな訳はなかった。
ただの思い違いだったと理解するには、私はまだ幼すぎた。
もともと「めざめ」という名を授けられたこの曲は、まさしく生まれたての赤子の目覚めのようだ。
まるでこの歌に翼が生えていて、私の心を檻から連れ去ってくれるかのような。
美しいゴミできらめくこの世界を、憎みながら、愛しながら生きていくのだ。
私の心は翼をもって空を飛んでいる。決して比喩なんかではなく。
そんな「ここではないどこかへ心を解きはなってくれる音楽」。
だからこそ、こんなにもスピッツは愛されているのだろう。