思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

熊と踊れ。

熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

少し違った「犯罪小説」を読みたい。

面白い外国の小説を探している。

ハードボイルドで、人間味あふれる作品を読みたい。

そんな君には「熊と踊れ」がおすすめだ。

主人公はレオナルド(レオ)、フェリックス、ヴィンセントの三兄弟。

しかし、ただの兄弟ではない。

なんと幼い時から立派な「銀行強盗」になるために、父親から猛特訓を受けた、いまだかつてない兄弟だ。

そんな残酷な運命を背負った彼ら。当然、考え方のこじれが出てくる。

父親の非常識な常識を植え付けられた兄弟たちが、大きくなって銀行強盗を企てる。

皮肉にも、かつての父親のように。

果たして勝つのはレオたち兄弟か、はたまたブロンクス警部有する警察かー。

ストーリーはあっさりしすぎているほど簡潔だが、中身が濃い。キャラも濃い。

そして、終始人間に対する愛で溢れている。

初めは上巻を読むだけでお腹がいっぱいになると思うけれど、頑張って下巻も読んでほしい。

下巻中盤、ある人物の言葉に私は涙を堪えることができなかった。

読んでよかったと心から感謝した。

しかも下巻には、読んだ人しかわからないあるどんでん返しが仕掛けられている。

そこも楽しみにしておいてほしい。


この作品が好きな人は「甘い毒」も良い。

甘い毒  世界探偵小説全集 (19)

甘い毒 世界探偵小説全集 (19)

なぜ「甘い毒」なのか。ネタバレを含むので言わない。それは、小説を読んでからのお楽しみということで。