思考は揺らめく道化師の羽

読んだ本と琴線に触れた音楽を綴る場所。かつて少年だった小鳥にサイネリアとネリネの花束を。

こめかみに銃を当てた少年は、大人になれない子どもたちが待つ汽車に乗る。

今思うとガリレオというバンドは年齢の割に遥かに達観していたと知る。

僕から君へ

僕から君へ

たった一回だけライブに行ったことがあるのが、放たれた記念すべき一曲目は
くそったれども」(曲名)
だった。

いや、嘘じゃない。

…まあ。いろんなことがあったのだろう、不満も溜まっていたのかもしれない。

だから斜に構えてしまったのだろう。

サリンジャーやヘッセといった文学を好んでいるのはアルバムのタイトルから見て取れるし。

学生時代の私はそんな文学に触れることもせず、漠然と毎日を過ごしていて、文学に触れるようになったのは大人になってから。

もっと早くから読み込んでおけばいろんなことが分かったのかもしれなくて、少し複雑な気持ちになる。

昔、音楽雑誌で彼らが語っていたのは、残酷さと純粋さについてだった。

純粋な作品を好む一方で、残酷な拷問器具を検索していたりする。

そう、かの作家のように、丁寧で残酷な「おとぎ話」。

「大人になれない子供たち」を乗せた「汽車」。

それに乗っていたのは誰なのだろう。

歌い手である彼らではないことは確かだが。

こめかみに銃を当てた少年は、きっとシーモアグラースのことを暗示しているのだろう。

彼はあっけなく命を絶ってしまった。バナナフィッシュという、意味深な創作した生き物の名を告げながら。

ガリレオは透き通るほどの純粋さと、奥に秘めた死を抱え込みながら歌い続けた稀有なバンドだ。

『恋の寿命』が好きです。