ライブ後の興奮の熱が冷めやらぬ中で。
久しぶりに「ハコ」に行ってきた。
そこで目にしたのは、純粋に音楽を楽しむバンドマンの姿だった。
素のままの、策略とかなにも関係なしに、ただひたすら「かっこいい」を貫く姿。
煙草の香りが立ちこめ、時刻を告げる青白いネオンがぴかぴかと輝いていた。
天井が低くて、壁には落書きと共に告知のチラシがびっしり貼ってあった。
上を見上げればぶつかりそうなぐらい丸っこくて白い照明があった。
「俺らはスタッフを極限まで削って、自分たちの目でライブをやってきた。
だから、今ここにいるお前たちにも言いたい。
一杯辛いこともあったし、うれしいこともあった。
でも、音楽やってなかったら俺たち出会ってなかった。
だからお前たちも全力で楽しんでくれよ。俺らも精一杯頑張るからさ!」
ああ、「ばかになって」楽しむのが一番いいんだ。
売れることも大事だけど、それ以上に本人が楽しむのが、一番大事。
一回原点回帰しないと、やってけない。
他人の言葉じゃなく自分の言葉で、もう一度、振り返ってやってみる。
他の人にも同じことを言われた。受け売りじゃだめだよって。自分の頭で考えなきゃって。
頭をぶっつけて、「これ以上馬鹿になったらどうしよう」!って騒ぐボーカルくん。
笑わせてもらったよ。
最後の最後に好きな曲を目の前で歌ってくれて、ありがとう。
思わず熱を帯びて、頭を振り乱しちゃったよ。
私、あなたのことを忘れないようにするよ。
本を手に取る
夏の図書館は骨の張り付くようなにおいがする。
多分消毒液の香りだろう。
飛水、パラレル、流跡を借りる。
長いこと読みたかったこちらあみ子を読む。
新刊もあったな、この作家。
川上未映子の水瓶の女の子が砕けてしまうシーンが凄く良かった。
小野正嗣を読み返したくなって、マイクロバスを籠に放り込む。
真鶴を読み返す。「世界が変わった」、という場所があったことを思い出す。
チヨダ・コーキのさわりだけスロウハイツの神様を読む。
次々と本を棚から出しては積む。次々本を放り込む。石ノ目、夕子ちゃんの近道、天の方舟、愛のようだ。
ああ、また時間が過ぎている。この時間の境目が無くなる瞬間というのが、とても心地いい。
涼しいところでのんびりしたいのだ。時間に囚われるのは好きじゃない。
せかされるのはもっと嫌いだ。
薄暗い方が、昼と夜の区別が付かなくなるから、いい。
暑い暑いと言いながら、顔は充実している。
私の人生を変えた究極の音楽7選。
あちこち他の曲の感想を書いていたり書き直した文章もありで
長くまとまりがまるでない雑記ですが、それでもよろしければどうぞ。
ミスチルの深海とはまた別の傑作。
灰色のビル、窒息しそうなニュース、
夜の深く冷たくて暗い海の底を泳ぐ一匹の孤独な魚。
藍色にほれ込み、藍に沈んでゆく。
泡のようなイントロから引き込まれて、最後のディレイまで美しい。
この曲でオルゴールを作ろうと長年もくろんでいる。
その為にバンドスコアまで買っちゃったほどのめり込みよう。
小樽オルゴールミュージアムでオルゴールを買うことが出来たら本望。
白波トップウォーターも下さい。
七年経った今でも想像力をかきたてる音楽。
- アーティスト: サカナクション
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2010/03/17
- メディア: CD
- 購入: 10人 クリック: 416回
- この商品を含むブログ (205件) を見る
stage/雨のパレード
心が揺らぎ、流れてゆく様はまさに水流そのもの。
まるで水の入った透明なガラス瓶を手で行ったり来たりさせるかのように揺らいでゆく。
希望や不安、崩れそうな思いを背負って歌う福永くんが思い浮かぶ。
声を失った青年というお題だけで何か書き物が出来そうだ。
他のバンドで言えば5150、starrrrrrr&Run Away、無題、ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト、アルクアラウンド&エンドレスの傾向。
誰かを笑う人の数珠つなぎ、発狂してもあきらめない心、彷徨う人を照らす一対の瞳と暗がりで輝く星。
悲しみの底から這い上がろうとする物語はいつだって私を魅了する。
これらの音楽を泣きじゃくりながら何度聞き倒したことだろう。
一言でいうと「究極の沼のような絶望と犠牲の果てに生まれた希望の音楽」。
何かが変わる、私も変わるきっかけになった音楽。
- アーティスト: 雨のパレード
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2017/03/08
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
The Place Has No Name/ストレイテナー
不便な便利屋の主題歌。
冷たい「名前のない」世界の中で最後に君を見つけ出すという和訳も最高。
白い世界に託されたたった一つの希望。
原色からシーグラス、覚星まで聞き倒しました。
シーグラスもまた淡い夢の中の夏のように儚くていい。
雨が降った後の海は蒼黒く畝っていて美しい。
シーグラスが波に煽られる。
私は砂の上に投げ出されたそれを透かしてみる。
夕日によって赤く染められた髪の毛とシャツ。
また次の夏と海が、白百合の香りと共に訪れる。
誰かの瞳に映る私は、一体どういった風に見えているのだろうか。
今年もまた海を見えるのだろうか。
そんな淡い期待を胸に抱いて今日も眠る。
(一部文章改訂)
「今年最後の海へ向かう」というのが何故か5月だというのが少し怖さもあって好き。
COLD DISCが大傑作だった去年の今頃。勿論今でも傑作。
ここまで惚れたのはkikUUiki以来。
「このCDは購入した時はただの冷たい=「COLD」DISCだけど、
あなたが聴いた瞬間に熱を放ち、光を浴びてGOLD DISCになるだろう」
というホリエさんの言葉は殺し文句。
おそらくこの先ずっと聴き続ける音楽。
原色から惚れます。
夢想家/Ivy to Fraudulent Game
歯車で出来た遊覧船の中にいたと思ったら実は壊れた自転車の上だった。というのは徒労の話。
歌詞がアレでも怖いぐらい好きである。続くこの曲も世界観が破格。
凍りついた寝台の上に寝かされた一人の男が見る果てのない夢。
聴いている自分と、この主人公の世界とどちらが幻なのだろう。境目が分からなくなる。
凡人の私にはとてもじゃないが思考が追いつかない。一生無理。
アルバム全体がブンブンのシングル並みの壮大な叙事詩のようだ。
醜い世界から脱出したいと望む一曲目のUtopiaから最後まで聞き倒したのは言うまでもない。
LIFE/スガシカオ
一言でいえば歩く希望。
一つだってこの世に無駄なものは存在しない。
間違いも絶望も何もかも受け入れて突き進んでいく一人の男。
強く肯定されるこの声に何度励まされたか。
無駄な努力などない。この曲があるから頑張れるのだろう、私は。
だから私は歩く。今日も自分を信じて、自分の生き方を信じて。
回り道だって立派な道だ。
- アーティスト: スガシカオ
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2016/01/20
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (16件) を見る
ROUTES/秦基博
テレビで紹介されていて好きになった一曲。
NHKの主題歌であり、未熟な気持ちを持った全ての人に届く応援歌。
間違っていい。はみ出してもいい。そこから何が学べるか。
青の光景は傑作であり、このアルバム収録の嘘、ディープブルー、あそぶおとなが好き。
永遠なんて嘘だ。深い底に沈む君を救う歌、もっと単純明快でいいと誘う遊ぶ大人。
あそぶおとなの対義語は学ぶ子供、ですかね?
- アーティスト: 秦基博
- 出版社/メーカー: アリオラジャパン
- 発売日: 2015/12/16
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (4件) を見る
at (liberty)/LAMP IN TERREN
タイトルは和訳で「元気で」。
自分が作り出した鳥籠を抜け出す主人公。
飛べることを最初からあきらめた青年。
彼を救ったのは彼自身の飛びたいと願う心だ。
鐘が鳴り、自由を手にした男の短いながらも壮大な神話。
どうしようもないほど落ち込んだ時、その強靭な音に何度でも鼓舞されたい。
いっそ、羽ばたいてから始まるサビは鳥肌もの。
イカロスは何度でも弧を描く。あきらめない人間がいる限りずっと。
今までの固定観念を吹き飛ばし、私に挑戦する心を与えてくれた一曲。
一曲前のinnocenceもいい。
このアルバム自体がBUMPを髣髴とさせるぐらいの大きな神話。
その神話に惚れたのが私だ。
まだあまり聴きこんでいないので、これから聴こう。
あったら欲しいバンドグッズ、独断と偏見にて。
フレデリック柄ビデオテープ型マステ(SPAM生活&リリリピートver)
KEYTALKのアンティーク人形@スターリングスターver.
雨のパレード雨傘@stage&new place ver・(おそろいでレインブーツ付き)
サカナクション@シーラカンスくんのでっかいぬいぐるみ付きトートバッグ(藍色に白地の水玉が浮いている)
ホログラム入りAoi下敷き(角度によって七色に光るよ!)
ストレイテナー@戦士の屍&泳ぐ鳥キーホルダー(夜になると星のように光ります)
シリアルナンバー入りギター型オルゴール(曲はPLAY THE STAR GUITAR、星座の彫刻入り)
Alexandros@thunder柄リュック(白地に黄色の雷柄、初回限定で金色の王冠付きメンバーのぬいぐるみ付き)
色違いでstarrrrrrverもあります。こちらは黒地に金の星の刺繍入り。
バンド版ボーカロイド(そーなんだ!ばりに増えてゆく…。
全30アーティスト、第一弾はスピッツ、二弾はアレキ、三番手にクリープハイプ)
オーラル@オーラルシガレット(ココアシガレットに似たなにか。
脳みそと心臓の形の瓶に入った柘榴味のジャムもあるよ!
銀の彼岸花の形の香水もあるよ!
スピッツ@とげまるキャラクターズフィギュア(一弾は星を抱えたシロクマ、二弾は赤い果実を運ぶツグミ、三弾は幻のドラゴン(半透明にラメ入り、ちっちゃいよ))
BIGMAMA@宝石ドロップ&ダイヤモンドリング型イヤリング
誰かつくってください。実際にあったらごめんなさい。
声が消え失せた青年が遺せるものは?
腕を失ったピアニスト。
文字を書くことができない小説家。
声を失った音楽家。
もし、あるはずだったものが根こそぎ奪われたのなら、
その人の価値はいったい何で測るのだろうか。
その人が残してきた作品だろうか。
はたまた、その人の人間性だろうか。
雨のパレードはいつだって時代を追いかけてきた。
epoch。英語で、時代。
時代を見つめてきた彼らだからこそ、描けるものがある。
自分が持っている最大の武器が消え失せたときに残るものがあなたの人生だ。
力強く次の舞台、「ステージ」に上がる。
change your mind。あなたの気持ちを変える歌たちを集めたアルバム。
あなたが生まれ変わりたいと思うなら、
以前の場所とは遠く離れた所へ行きたい、そう願うのならば、
この歌はあなたを望む場所へ連れて行ってくれるだろう。
- アーティスト: 雨のパレード
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2017/03/08
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
鋼鉄の翼と心臓を授けられし者。
神話を読むとき、私はもし彼らがこの時代に生きていたら何を考えるのだろうと想像する。
今の時代を神は嘆くのだろうか。はたまた、喜び嘲るのか。
その神になったかのような感覚を抱くことができるのがat (liberty)だ。
悲劇をもろともせず、鋼鉄で出来た心臓のような希望を抱いて突き進んでゆくかのような予感に満ちている。
蝋の羽が溶けたイカロスは太陽に己の翼が焼かれようとも希望を失いはしなかった。
彼の脆い翼は柔軟で屈強な金属に生まれ変わったのだ。
荒波を乗り切るのに必要なのは人に裏切られ続けても自分を信じる心だ。
行こう、共に終わりのない結末が待っている世界へ。
優しい音が爆ぜる瞬間。
深い悲しみの中にこそ優しさは宿る。
葛藤、失望、孤独。
それらを抱えた人たちを優しく慰め、気持ちを楽にしてくれる、優しい言葉のような音楽。
mol-74のcolorsは、そんなアルバムだ。
彼らの音楽は誰にでも優しく溶け込み、包み込んでゆく。
繊細なタッチで描かれた水彩画のように、柔らかく心を溶かす。
花火のようにはじけ飛ぶようなイントロが印象的なlightが一番好きだ。
君を追い越す姿が幻想的で、光景が想像できる。
「あなた」が与えてくれた色や声に感謝するhazelをはじめ、
恋のような風に吹かれる姿が愛しいyellow、
ちくちくと心を刺す薔薇の棘に苦しみ、「嫌い」だと連呼するroze。
優しくて可愛らしいオルゴールのように、何度でも繰り返し聞きたくなる。
だってそれは人の心そのものだから。
心を持たなければ、好きになれないから。
あんなに憎しみや悲しみでいっぱいになっていた心が、少し軽くなっている。
いや、軽いなんてものではない。気持ちが穏やかになっている。
「感謝」や「祝福」を音楽で示せば、こういったものになるのだろうか。
こんなに素敵なアーティストに出合えて良かった。
私はこのアルバムを大切な誰かに渡したいと本気で考えている。
どこかで打ちひしがれて泣いている誰か。
優しい心を持っている誰か。
きっとこの小さなおとぎ話のようなCDは、人を裏切ったりはしないから。
- アーティスト: mol-74
- 出版社/メーカー: Ladder Records
- 発売日: 2017/05/24
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る